海と涙

撮影休みの日。

渡辺は向井の家に来ていた。

向井はオフ。

今、キッチンで向井がお弁当を作っている。

渡辺は、昨夜少し遅くなり、今向井の家のソファで眠っている。

向井ーさて、出来た、翔太くん起こしてこよか。

気持ち良さそうだけど、出かけたいと言ったのは渡辺。

そっと肩を揺すり起こす。

向井ー翔太くん、準備できたで？

渡辺ー・・ん・・。

向井ーほら、起きな？

渡辺ーおきる・・。

向井ー置いてくで？

渡辺ーんっ・・起きた！

向井ー服着て、行くで？

いつもの海に行くつもりだったが、目黒の撮影が機材トラブルで休みになり。オフだった阿部が、あの海に行くけど大丈夫？と連絡が入った。

渡辺は一瞬寂しそうな顔をしたが、行って来いと目黒に言った。

向井に言うと、苦笑いして、新しく海を探しに行こうとなった。

あの辺りは似たような地形で、多分同じような海もあるだろうと。

走り出したら渡辺はまた、うつらうつらし始める。

近くまで寝ていいと向井が言う。

向井ー翔太くん、そろそろ起きてや？

渡辺ーん、起きてる。

向井ーゆっくり走るさかい、海見ながら車が降りれるようなとこ探してや。

渡辺ーん。

向井ーあの海良かったけど、阿部ちゃんが気に入ってしもたから、やろか？

渡辺ーん、2人だけの海がいい。

向井ーあそこ、降りれるかな？

渡辺ーちょっと狭くない？

向井ーその方が他の車が入らんやろ？

渡辺ー行ってみる？

向井ー横、通れるか見てな？

渡辺ーオーライ、オーライ。

向井ーちょっと見てくる。

渡辺ー何？

向井ータイヤ痕ないか。

渡辺ー俺は、足跡ないか見る。

向井ー無いわ。

渡辺ー足跡も無い。

向井ー車入れるわ。

前の海より、少し小さくて、でも2人には充分で。

岩の窪みに車を入れると上の車道からは見えない。

向井ーここにしよか？

渡辺ーん、ここ気に入った。

渡辺は早速、波打ち際まで歩いている。

向井は、シートを広げ荷物を載せてカメラを取り出す。

渡辺が裸足になって水の中に入る。

向井ー翔太くん！

渡辺ー入っちゃった。

向井ー短パンちゃうんやで？濡れたやろ？

上下、麻の服を着ている渡辺。

パンツの裾が濡れている。

海から上がってきたら、今度は砂が付く。

向井は、それもありかと写真を撮る。

向井ーお弁当食べよか？

渡辺ーん、お腹空いた。

向井ーここ、ちょっと小さいけど、誰も使うてないみたいで、ええな。

渡辺ーん、前のところからどれだけ離れてる？

向井ー1kmくらいちゃうか？

渡辺ーここは内緒な？

向井ーそやな。

新しい海も気に入った渡辺。

お弁当を食べて、また海に行く。

足元はもう濡れているので入るのに気にしない。

水を蹴り上げている。