土曜日の朝10時。歴史の時間。飯盛「・・・という事で、織田信長は、明智の謀反によって、自決しざるを得ない状況になってしまった。」
芽衣「えぇ〜、織田さん可哀想・・。」
敦「てか先生、何気に教えるの上手だね。」
飯盛は驚いた。
飯盛「うそ・・・本当に?」
彰人「そうだよ。まるで本物の教師だ。」
咲良「私たちの学校のどの教師よりも上手だわ。」
飯盛は顔を赤くした。
飯盛「本当かなぁ?大学では全然ダメなんだけど・・。」
咲良「そんな事ないわ。自信を持って、先生。」
そう言われると、とても嬉しくなった。
今まで教師になる努力はしてきた。
でも、大学では、やっぱりコミュ力が必要だった。
今でもまともに話せる相手はアレックスしか居ない。
そんな僕が、褒められた・・・・・・
認められた。
飯盛「みんな・・・・・ありがとう!」
彰人「え?」
飯盛「僕・・・頑張ってみるよ。大学でも、頑張るよ!」
新しい扉が、開いた。そんな気がした。
その頃、警部補柴田は考えていた。
柴田(奴はまた殺人を犯す。しかしどうやって?顔も身元も知られているのに、)
(交通機関なんて使えないし、そもそも監獄は鹿児島だぞ。歩くのも無理だ。)
(じゃあ、もしかして・・・・)
柴田「まだ鹿児島県内に居る・・?」
あり得ない事じゃない。到底走って行くには現実味がなさすぎる。
じゃあ、まだ居るのか・・・
岡田「おはようございまーす」
扉から入ってきたのは、部下の岡田淳一(おかだじゅんいち)。頭脳明晰で、勘が鋭い。
岡田「どうも、清水さん。何かわかった事はありましたか?」
柴田「いや、これと言った情報は何も。ただ・・・」
岡田「ただ?」
柴田「奴が脱走して12年、何も音沙汰がない。何も事件を起こさずに12年を過ごしているんだ。」
岡田「そういう事でしょう。信じられませんが。」
柴田「奴が脱獄したという事は、逃げ切れる〔作戦〕があったという事だ。」
岡田「作戦?」
柴田「ああ。」
柴田は目を細めた。
柴田「どうせ整形などをするために、頭を使った結果、12年も静かに過ごす結果になった。」
「・・・という所だと思うが、もし本当なら・・・」
岡田「まずいですね・・・。」
整形をしたなら、まず顔は変わっている。
それに戸籍も変えているはずだ。
見つけるのは困難になる・・。
岡田「あ、これなら・・・」
柴田「何だ?」
岡田が何か閃いたようだ。
岡田「犯人の行動を考えれば、奴は必ず〔あそこ〕に向かうはずです。」
柴田「あそこ?」
岡田「ええ。家は封鎖中、なら彼が知っている場所は、一つです。」
柴田「・・・な、まさか!?」
岡田「今は1人の大学生が住んでいる、元[誘拐部屋]です・・!」
その部屋は、203号室。
12年前、誘拐殺人事件が起きた、いわゆる
事故物件だ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!