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創作注意⚠️
「夏」
それは俺を縛る、消えない存在
そして、忘れてはいけない存在
太陽に照らされ、ゆっくりと溶けはじめる
冷たい液体が、手に垂れる
「うわっ、冷たっ!!」
『も~ほんとになにしてんの?笑』
彼女は呆れ気味に言う
「いやこれは溶けたアイスが悪い!!
作ったやつ訴えてやる」
『何アホなこと言ってんの… あ』
彼女が言葉を発した瞬間、
ぽたっ、とまた何かが垂れる感覚がする
「あ…ああーー!!!服に垂れてるしー!!」
『すぐ食べないからこうなるんですー』
『仕方ないなぁ、私優しいから拭いてあげる!!服貸して!!』
そう言って彼女は可愛らしい水色の波模様が入ったハンカチで、汚れた部分を拭く
ハンカチが近づいた瞬間、かすかに
潮の匂いがした
それはどこか心地よくて、彼女を連想させるには充分だった
この匂いを忘れることはないし、
忘れたくもない
彼女といる時間だけが、俺を満たしてくれる
『……いつまで私のハンカチ見てるの?』
匂いに浸っている間に、かなり時間が経ってしまっていたらしい
「いや…デザイン可愛いなーって」
『…なんかあんたが可愛いって言葉口にしてるの怖い』
「怖いってなんだよ!俺だって感情あるんだから当たり前だろ!!」
少し怒り気味に言った
だが、彼女は俺の言葉を気に入ったみたいで、そんなこと気にならないというような顔で微笑んでいた
『ほら帰ろ!!おばさんが怒っちゃう!』
そう言って彼女は俺の手をグイッと
自分の方へ引っ張った
その時の顔は自然だっただろうか、
少々にやけていた気がするが、
まあ、そんなこと考えてるだけ無駄だな
彼女といられるだけで、幸せなのだから
第1話 波模様のハンカチ
終