side zm
スマホの通知を確認する。中は開かない。「夜ごはんどうします?」
俺に背を向け喋るショッピには、勘付かれたくなかった。
「簡単で掃除しやすいやつがええな。」
「はーい。」
目の前にインスタントラーメンを置いてくるショッピは、「これでええですか?」と心配そうに聞いてくる。
「ええやん。うまそうこれ。」
ホッとしたような表情をするショッピは、なんだか可愛い。
父親からのメッセが、大量に届く。通知音うるさい。
「ゾムさん、うるさいですよ?」
振り返ったショッピは、不思議そうにこちらを見る。だって俺はスマホに手を伸ばそうともしてないから。
「見ないんですか?」
ほら。言ったろ?
「おう。うるさいかもだけど許してや。」机の下にある自分の手は微かに震えてる。ショッピには、見せられなかった。
「はい。ゾムさん。」
目の前に出されたのは、どんぶりに入ったラーメン。こんなん食べるん久しぶりやなあ。としみじみ思ってしまう。
「いただきます。」
一口ラーメンを啜る。
「うっっまっ!」
元々大食漢のせいかバンバン口にと言うか胃に詰め込んでいく。
「喉に詰まりますよ。」
ニヤニヤしながらこちらを見るショッピは、やっぱり可愛い。久しぶりの温かい食事。
いや。ショッピとなら、冷たくても不味くても温かいし、なんでもおいしい。
「久しぶりやなあ…。こんな楽しい晩御飯。」
「俺もっす。」
数秒後。その言葉にハッとする。そういえば俺はショッピのことは、何も知らなかった。ショッピが、引っ越して来てから、ずっと一緒にいるはずなのに。家は、最初ぐらいしか行ってなかった。まぁ、やんちゃ時代の、俺達は、外で遊んでたってのもあるが。
『俺もっす。』
その言葉の意味はなんだったのか少し気になってしまう。俺のことを心配してるのは同じ状況を受けてるからなのか?
「ショッピ。親御さんていつもは、いんの?」
なるべくおかしくないように聞いてみる。「あー。いつもいないっすよ。まぁ、そのほうがすき放題できるんでいいですけど。」ホッと息をする。俺はどうでもいい。コイツには苦しい思いをさせたくない。大切な大切な弟みたいなやつだから。
気が上がらないまま食事を終え、片付けを済まし部屋へと戻る。
「今日は色々疲れたなー。」
「そうっすね。もう寝ます?w」
まだ短い針は真左を指しているというのに、俺の眠気は頭をくらくらさせてくる。「いったん横になりたいかもなぁ。」
ショッピが用意してくれた布団に横になる。
すると、ショッピが添い寝とまではいかないが、近くで寝てくる。それに笑みがこぼれながら、天井を向く。
「ショッピ。おやすみ。」
そう言って目を閉じた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!