その駅のホームはまるで海から生えているかのようだった。
雨ざらしであることを表す 粗(あら)いコンクリート。ホームの 両端(りょうたん)には階段が付いているが、数段だけが海面上にあるのみでその先は暗い海の中だ。
古ぼけたライトの下で駅名表示版が浮かび上がる。
「 膿(うみ)、か。嫌な字をあててくるな。匂いそうだ」
金髪が鼻に 皺(しわ)を寄せる。
線路も海面下にあるようで、電車が海の上に浮いているような奇妙な 錯覚(さっかく)に 陥(おちい)る。昼間であれば少しは海面下の内容を知れるのだろうが、あいにくの日没後、俺達は墨のような液体の上で 途方(とほう)に暮れることしかできなかった。
自動販売機の一つも無く、降りるべき街も無い。
俺達は無言のまま一度降りた電車に乗った。
「出発は60分後だったわね。少し休みましょ。綾乃ちゃん*********************
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