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血の気が失せる瞬間にある寒気と全身が一気に熱くなり朦朧とする感覚は何度目なのか。
じわじわと溢れては自身の体温が低下していく事を実感するほど失血による朦朧とする意識とは笑えないものだ。
止血を試みて強く締め付ける工程と、どうにか生にしがみつかせようと運ばれる口元から与えられる飲み物が上手く拾うことが出来ない。
唸り声と脆弱な吐息が己の最期かと覚悟させるかのようで自暴自棄にも似た感情が湧き上がる。
「ンな所でくたばる男じゃないだろ」
怒りに似た声で投げ掛ける。
でも自分は声もまともに出せず弱々しく手を握ろうと指先を動かす力を振り絞る。
「そうだ、それでいいんだ。」
絞り出す様な苦苦しい表情が薄ら見えたような気がしたが、其れは幻だったのかもしれない。
しばらくの苦痛との奮闘は続いたが、気がつけば全身包帯まみれにも近い状況なのを理解した。
「てめぇの片目はマトモに機能しねぇから、義眼を植え付けたかンな」
早く良くなれよ。
と告げられ暫くはまだ床に伏せる事が続く。
マトモに声が出せるまでに至ったのはどのくらいか、ガサガサで聴き取れるもんなのか?と疑う程に声は掠れていた。
「……随分良くなったんじゃねーの?」
ベッドの隅に少し座りながら声は安堵を感じるトーンに変わっていた。
「…に、ボス」
「良いって、無理すんな」
もう少し寝てろと言うように身体はベッドに引き戻される。
痛み止めは正直効いてる気がしないほど鈍痛だ。
未だに唸り声は出る、ソレでも身体が回復してるという事が分かるほどに意識がしっかりしてきたのだと今その片目の拾う情報が物語っているのだ。