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美晴のスマートフォンからは、なにごともなかったかのようにアプリが消えた。しかし今まで頑張った経験が消えるわけではない。

これからは亜澄のような女性を目指し、ひとりでも多くの「サレ妻」や「虐げられ妻」を救いたい――自分が助けられたように、希望をもらったように、誰かの役に立ちたい、と美晴は強く思った。


「亜澄さん、本当にありがとうございました。私、頑張ります。これからせいいっぱい生きて、亜澄さんやアプリの運営の人々のように、誰かの役に立てるように頑張ります!」


美晴の目は生きる希望で輝いていた。アプリの本当の目的が今、達成された瞬間だった。



「亜澄さん、お元気で」


「美晴さん、がんばってくださいね」


「はい!!」



亜澄に一礼し、事務所を後にした。美晴は一歩、また一歩と歩きだした。

ビルを出ると、花束を抱えた隆也の姿が見えた。


「隆也先生!!」


「お疲れ様です。美晴さん、離婚、無事成立おめでとうございます! やりましたね!」



ばっと花束を渡された。



「わあ、先生。ありがとうございます!」


「美晴さん。約束覚えていますか? 離婚をしたら祝杯をあげましょう、と。それから、お話があるとお伝えしましたよね」


「あ、はい。覚えています」


いつになく真剣な隆也の表情に、美晴は思わずドキリとした。トクトクと胸が高鳴る。いったい、なんの話があるのだろう――



「美晴さん。僕、あなたのことが好きです!! 僕が辛いとき、支えてくださって、あなたの優しさや笑顔に癒されました! 真剣に交際を考えていただけないでしょうか!!」


白昼堂々の隆也の告白に、美晴は目を丸くした。

こんな自分でも誰かの役に立ち、希望となり、好意をもってもらえた。

頑張っていれば、素晴らしい未来が待っている――



「えっ、でも、私なんか…バツのついた人間ですし…」


「出会う人間や順番を間違えただけです。あなたは悪くない」


「と、年上で…面白味のない人間ですが…」


「真面目なあなたに惚れました」


隆也の情熱的な眼差しに、美晴は悩んだ。自分のような人間が、隆也のような若く未来のある男性と将来を考えてもいいのだろうか、と。


「固く考えずに、まずはお試しでどうでしょうか? とりあえず、デートしていただけませんか? 勝利のお食事にでも」


必死になる隆也を見て、美晴は目を細めた。



「そうですね。はい、私でよければ!!」



いきなり結婚などと真面目に考えるからおかしくなるのだ、と美晴は自分の思考を笑い飛ばした。

彼の言うとおり、まずはお試しでいいじゃないか。

人生まだまだこれからだ。うまく行かせるのも、失敗させるのも、分岐点でチャンスを掴むのも、全て自分次第。


隆也の人間性は短い付き合いでもわかっている。幹雄のパフォーマンスは全て演技がかった態度だっが、しかし彼は違う。繊細で優しく人を大事にできる男性だ。


迷わず花束を受け取り、美晴は微笑んだ。

隆也と歩む未来を見てみたいと素直に思った。












――松本美晴、無事離婚、旧姓・笹野美晴に戻り、任務完了。




亜澄は運営に報告を入れた。これでまた一人、罪なき女性が救われた。よし、今回も良好な結果が出せてよかった、と亜澄は喜びを噛みしめた。


しかしすぐに運営から折り返しが入る。


『復讐アプリ』をダウンロードした女性から『復讐をしたい』とSOSが入ったのだ。

助けを求める女性の名を見て亜澄は驚いた。次の依頼者は『相原由紀子』となっていた。配偶者は『相原久次郎』。




まだまだサレ妻たちの復讐は終わりそうにない――







-完-





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