テラーノベル
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─堕とさないと出られない館に閉じ込められました─
注意喚起
・御本人様とは一切関係ありません
・BL(R18にはならないはず)
・zmさん総受け
・現mzybのメンバーが登場します
閲覧はあくまで自己責任でお願いします。
分かりにくいけど最初はshaさん視点です
◇
「ゾムを返せ〜!」
楽しそうな、おちゃらけたような。でも狂気を隠しきれていない、そんな声が土埃の向こうから聞こえてくる。
「・・・ゾム・・・・?お前、何が目的やねん」
その名前を聞いた途端、ぞわりと鳥肌が立つ。
もしこいつの目的がゾムと関わることなら、それは絶対に許さない、と。トントンがそう思わせる口調でそう尋ねた。
「ん〜、迷子を回収しに来た、って感じ?」
くす。
手に口を当てて上品に笑ったその仕草と裏腹に、踏み出した一歩から放たれる気配は刃物のように鋭い。
「どぉもみなさんこんにちは、らっだぁ、通称青鬼です!」
ふわ、と外気に晒されたそいつのマフラーが妖しく揺れる。
歪な笑顔を浮かべて細まったその目は、ひどく濁っていた。
「ら、・・・・・?・・・なんでもええ、俺たちに危害を加えたら許さへんからな」
「もちろん。ゾムをここに出してくれたら、何にもしないよ」
すなわち、反抗したら殺す、ということ。
一目見てわかった。こいつには敵わない。
夥しい数の殺気と重苦しい想いが目に見えるようだった。
ゾムを出せ?ただでさえさっきまで寝込んでいたのに、知らないやつに仲間を渡すわけにはいかない。
その口調が、ゾムは自分のものだ、そう言っているようで無性に腹がたった。
「・・・・ねえ、どっちにするの?ゾムを返すか、殺されるか」
俺たちの反応を怪しく思ったのか、問い詰めるようにらっだぁはそう言った。
第一、お前はゾムのなんだというのか。せめて説明して欲しいと思う。
「・・・じゃあ、先に話を聞かせてください。あなたとゾムさんは、どういう関係なんですか」
この中でもどうにか冷静を取り返しているショッピくんがそう言った。
「それ、応じると思ってるの?こっちは時間ないんだ、ちょっと早くしてくれないかな」
密かにイラついているのが伝わってくる。流石にそうやすやすとはいかないか、と拳を握り締めた。
「・・・・もういいか。お前ら絶対渡してくれなさそうだし。」
武力行使ってやつ?
声色が低く落ちる。
その瞬間、そいつの纏う雰囲気が変わり始めた。ぴり、と殺気が肌を焼くようだ。
「・・・・・やば、ッ」
一番近くにいた大先生が逃げるように後ずさる。
らっだぁの右手に、いつの間にか蒼く光る斧が握られていた。
思考の読み取れないその顔は、鬼の面に覆われている。
「・・・・・・っ」
殺される。
そう思った時だった。
「みん、な・・・・・・?」
か細いけど芯のある声。
声の方を振り返ると、壁伝いにこちらに歩いてくるゾムの姿があった。
まずい。
「ッゾム!!きたらあかん、・・・・・?」
反射でそう叫んだところで気づく。
ゾムはもうこちらを見ていなくて、一点、らっだぁを目にしたまま固まっていた。
「・・・ぁ、え・・・・?」
ゾムの薄く開いた唇から母音が零れ落ちる。
様子がおかしい。そう思ったのは俺だけではなかったようで、ゾムを庇うようにトントンが前に出た。
トントンの肩越しに、ゾムの視線は外れない。
まるで磁石みたいに、らっだぁに釘付けにされている。
「・・・・・・ゾムさーん?」
鬼の面の奥から、愉快そうならっだぁの声が響く。
ぞわり、と空気が震えた。
その声音には、敵意と執着が入り混じっている。
「・・・ねぇ、やっぱり、俺を覚えてるんじゃん」
らっだぁの瞳がぎらりと光った瞬間、ゾムの体がぴくりと震える。
「だ、れ・・・・?おに、・・・・・・っ」
掠れた声が零れる。
その瞳がわずかに揺らぎ、何かを思い出しかけるように眉を寄せた。
腰の抜けていた大先生も立ち上がり、ショッピは斧を握る手の動きを見逃さないよう注視していた。
「説明せえや、青鬼。ゾムとお前がどう関係あるんか、今ここで言え」
自分でも驚くような低く押し殺した声。
らっだぁは楽しげに首を傾げる。
「説明なんていらないでしょ?ねぇ、ゾム。」
“おかえり。”
◇
いくら薬を飲んだとはいえ、朦朧とした意識の中、誰かがこちらに手招きをしている夢を見た。
すぐ近くまで来ている。今までのように見ているだけじゃない、囁かれている。
気づいた時には足が勝手に動いていた。
下から轟音が響く。何があったのか理解できないまま体を動かす。
「みん、な・・・・・・?」
目を見開いた。
さっきまで生活していたリビングは、今や殺気が渦巻いている。
その息さえ煩わしくなるような殺気の中心。
否応なしに視線がいく。
みたことが、ある。
髪色によく似た青いニットとダウンコート。
滅多に外さない、風に靡いて目立っていた赤いマフラー。
何より、特徴的なその鬼の面。
「・・・・・・ゾムさーん?」
知ってる。
見たことがある。
きいたことがある。
どこで?
「・・・ねぇ、やっぱり、俺を覚えてるんじゃん」
ちがう。知らない。
こんなんじゃない。
もっと、もっと、優しくて。
しらない、のに、しってる?
だれ?
頭の中でぐちゃぐちゃな感情が反響している。
本能が、これ以上踏み込んでは駄目だ、と警告を鳴らしている。
ねぇ、ゾム。
おかえり。
「・・・・・ッぁ、ひゅ、・・・!!」
いやだ。こないで。
思い出しちゃだめだ。
「は、っ・・・・はーっ、ひ、っ」
いきができない。
足元からどんどん、なにかにのみこまれていくようで。
いつものゆめといっしょだ。
いつも、なにかが、まとわりついて。
「けほっ・・・・ぁ゛・・・っ、ひゅ、ぅ゛」
「ゾム!?ちょ、おい!」
「過呼吸・・・?息吐いて、吐いて!!吸っちゃだめ、!」
「おい、お前もどうにかしろよっ!!」
ごめんなさい。もう何も言わないで。
「っぐ、・・・・・ぁ゛、ひっ、ひゅ、・・・・・っ!」
のどが勝手に閉じていく。
肺がからっぽになる。吸いたいのに、吸えば吸うほどしめつけられる。
いやだ、いやだいやだいやだ。
いつのまにか崩れた体は壁に寄りかかって、呼吸もできない。
だれかの声が聞こえる。
遠い。
耳の奥で水に沈められたみたいに、ぜんぶぼやけていく。
頭の奥で、何かが割れるような音がした。
血。
赤いマフラー。
鬼の面。
笑っていた、あの人。
「・・・・・あぁ゛・・・ッ!!や、ぁ、・・・ッ、やめ、・・・・ッ!!!」
必死に振り払おうと首を振る。
涙と酸欠で視界が歪む。
けど、もう力が入らない。
視界の端に、まだらに揺れる青色が見えた。
冷たくて、でも、どこか懐かしくて。
『────ゾム、おかえり!』
最後に聞こえたのは、遠い記憶に埋まった、陽だまりのような優しい声。
「・・・・・ぁ゛、・・・ごめ、なさ・・・・・・」
意識が、暗闇に攫われていった。
◇
あー楽しかった、過呼吸ってやっぱいいね!!
ハピエン厨な癖に苦しむ推しは大好物(←
mzybfair池袋だって!!?近場じゃないか絶対に行く
コメント
12件
苦しむ推しっていいよね、!! 池袋遠いいいいいいい!!! 泣きそうだけど行くんご。
zmぅぅぅぅぅッッッッ(´;ω;`)
感謝ーーー!!推しが苦しんでるの大好物過ぎるーーーー!!