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怪奇・怪獣ワールド

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怪奇・怪獣ワールド

4 - 夕立の後

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2025年09月12日

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八月のよく晴れた暑い日の昼下がり、秩父山系のはずれにあるその小さな自然公園は、夏休みを満喫している大学生のグループでにぎわっていた。


山の斜面の下、川に面した平坦な場所が広がり、木材と太いロープで組まれた大人も遊べる遊具が多数設置されている。


男女3人ずつの大学生たちは、綱渡り、バドミントンなど思い思いの遊びに興じていた。


不意に、山の中としても涼しい風が吹きつけ、肌感覚でもはっきり分かるほど気温が下がった。


彼らが空を見上げると、黒い大きな雲が頭上に見る見る広がっていた。男子学生の一人が言った。


「おい、こりゃ、一雨来るんじゃねえ?」


女子学生の一人が応じる。


「ほんとだ。宿に戻る?」


次の瞬間、バリバリとすさまじい雷鳴が辺りに響き渡った。もう一人の男子学生が空を見上げながら言う。


「いや、へたに開けた場所歩いたら、かえって危ないかもしれないな。雨宿りした方がいいんじゃないか?」


彼らが公園の中を見回すと、ちょうど一本の大木の陰に休憩用のベンチがあった。東屋のように屋根もついている。


ポツポツと大きな雨粒が落ち始めた。学生たちは走って東屋風のベンチに向かった。


ザッと激しい雨が降り始めた。雨粒の軌跡がはっきりした線に見えるほどの大粒の雨が辺りの地面に突き刺さるように降りしきる。


男子学生の一人が言う。


「うわ、すごい降りだな。どうする?」


女子学生の一人が空を見上げながら言う。


「あっちの端の方の空は雲がないから夕立だよ、これ。しばらく待ってればやむんじゃない」


彼らはしばらくスマホでゲームをしたり、SNSを見たりして時間をつぶした。30分と経たないうちに雨が小降りになり、辺りに陽が差し始めた。


女子学生が掌を屋根の外に差し出しながら言う。


「もうやむよ。やっぱり夕立だったんだ」


やがて完全に雨は上がり、晴れた空が戻って来た。山の稜線の上に虹がかかっているのを見つけて、女子学生3人が騒ぎ始めた。


「見て見て、虹よ!」


「うわあ、くっきりした虹。東京じゃ見れないよね、こんなの」


「あれバックに写真撮ろうよ」


女子学生の一人が男子学生の一人に自分のスマホを渡し、女子3人が横一列に並んで虹を背に立つ。


スマホを構えた男子学生がカメラの位置を調整し、まず1枚撮影する。彼は女子学生たちに言う。


「もうちょっと真ん中に寄れない? そうそう、じゃあ、撮るよ」


スマホのシャッター音が一度鳴り、その男子学生はスマホを持つ両手をだらんと下げた。その顔は真っ青になっている。


もう一人の男子学生がひきつった声で女子学生たちに呼びかける。


「お、おい……後ろ!」


「え?」


彼女たちがきょとんとして背後を振り返り、そして空気を裂くような悲鳴を一斉に上げた。


彼女たちの真後ろに、彼女たちの背よりはるかに高く、太い棒状の物が立ち上がっていた。その先についた眼が不気味に光る。


後ろ向きにその巨大な生き物から遠ざかろうと足を動かした3人の女子学生に向かって、その長い首の先の口から、ピュッと液体が吐き出された。


その液体は野球ボールほどの大きさの玉になって、3人並んだ真ん中の女子学生を直撃し、両脇の二人もその飛沫を浴びた。


「逃げろ! 走るんだ!」


男子学生の叫び声で我に返った女子学生たちは走り出そうとしたが、液体の玉の直撃を受けた者だけが、足をもつれさせその場に倒れこんだ。


他の二人の女子学生もフラフラした足取りになり、それでも男子学生たちの所へやっとたどり着く。


地面に倒れた女子学生の体にその巨大な長い首が覆い被さり、大きく開いた口が女子学生の体にかみつき、痙攣しているその体をそのまま木陰の奥に引きずり込んだ。


残った5人の学生たちは、恐怖の悲鳴を上げながら麓に向かって駆けて行った。夕立の名残の水玉があちこちで木の葉や草の先からぽつりぽつりと落ちる中、辺りは何事も無かったかにような、静寂に包まれた。


帝都理科大学の渡(わたり)教授はスマホの送話口に向けて「はあ?」と戸惑いの声を放った。


「そりゃ正体不明の巨大生物となれば、生物学者の君の出番なのは分かるが、なんで私がそんな調査につきあう義理があるんだ? 私の専門は地震学だぞ」


電話の相手は同じ大学の新進の生物学者、遠山准教授だった。まだ30代で学生と間違えられる事もある彼は、先輩である50代の渡の言う事など意に介さない無邪気な口調でまくし立て続けた。


「先生は地質学の知識も持ってるでしょ? その知識を貸して欲しいんですよ」


「いや、それは確かにそうだが。しかし、警視庁の刑事に協力しろとは、どういう……」


「とにかくこれから、その刑事さんと一緒に伺いますから。30分ほどで着きます。じゃあ、よろしく」


「おい、待て……ありゃ、切りやがった。人の話なんて聞いちゃいない。学者馬鹿という言葉を絵に描いたような男だな、まったく」


きっちり30分後、渡の研究室のドアがノックされた。渡が「どうぞ」と言う前に遠山がドアを開けて、楽しくて仕方がないという表情の童顔をのぞかせた。


「渡先生、刑事さんをお連れしましたよ」


渡は白い毛が混じったあごひげを掻きむしりながら苦々しく応える。


「まだ、協力するとは言っとらんぞ!」


遠山は全く気にしていない様子で、背後の人物を部屋に招き入れた。


「どうぞ、こちらです」


カツカツという甲高い靴音を立てて入って来た人物を見て、渡は一瞬目を丸くした。まだ若い女性だったからだ。


身長こそ渡と同じぐらい高いが、細身の三十歳になるかならないかという見かけだ。暗い色のパンツスーツに身を包み、髪はボブカット、切れ長の目をした、なかなかの美人だ。


「突然押しかけて申し訳ありません。警部補の宮下と申します」


彼女が差し出す名刺を受け取りながら、渡は口には出さずに感嘆の言葉をつむいだ。


「この若さで警部補か。キャリアだな。エリートの相手は苦手なんだが」


名刺に書いてある彼女の肩書を見た渡は、今度は声に出してつぶやいた。


「公安機動捜査隊?」


宮下はかすかに頭を下げて言った。


「ご存じかもしれませんが、テロ対策を主な任務とする警視庁の部署です。そして任務には、生物兵器の研究が含まれます」


渡は宮下と遠山の顔を交互に見回しながら尋ねる。


「生物兵器だと? 熊か何かの見間違いじゃなさそうだという事か、今回の事件は」


遠山が新しいおもちゃを手にした子どものように目をきらきらさせて言う。


「生き残った大学生たちは大蛇だと言っているそうです。しかし、それでは辻褄があわない点が多々あるんですよ。普段地中に潜んでいる生物だとしたら、一帯の地質も調べてみる必要があるんです。地質学の先生には断られちゃいまして」


事件現場である秩父山中の公園で、渡は登山用の服を着てスコップで地面を掘っていた。真夏の直射日光の下での力仕事に、手伝わされている遠山は悲鳴を上げた。


「こ、こりゃ、きつい。渡先生、そろそろ休憩を」


渡は手を休めずに叱りつけた。


「まだ10分しか経っとらんだろうが。私に手伝えと言って来たのは君の方だぞ」


深さ1メートルまで細い穴を掘って、渡が懐中電灯で地中の断面を見る。横に控えていたスーツ姿の宮下が尋ねる。


「どうですか先生? 何か変わった事は?」


渡は額の汗を手の甲で拭いながら答えた。


「不自然だな。見ろ、ずっと奥まで土が黒いだろう?」


「それが何か?」


「この地域の土壌は火山の噴出物由来だ。関東ローム層というやつだな。その上を腐葉土などの黒い土が薄く覆っているのが普通だ。だから、ここまで深く掘れば赤土になるはずなんだ」


宮下と遠山が穴の中をのぞき込む。遠山が首をひねりながら言った。


「平野部ならともかく、一応山岳地帯ですよね、ここ。こんなに深く腐葉土が積もるはずはない、という事ですか?」


「そういう事だ。うん?」


渡が穴の奥に手を突っ込んで何かのかけらを引っ張り出した。元が何かは分からないが、長さ10センチほどの細いプラスチック片だった。


「さては、産廃だな」


宮下がかがんで渡に訊く。


「産業廃棄物が混じっていると?」


渡は立ち上がって、公園の全景を見回して言った。


「この地形自体が不自然かもしれん。山の麓のちょっと上だから、斜面である方が自然だ。こんな広い平坦な土地がなぜこの場所にだけあるんだ?」


それから3人は、犠牲者が巨大生物に襲われた場所へ行った。警察の規制線のテープで囲まれたその場所には、埼玉県警の制服警官が数人見張りに立っていた。


宮下が警察官身分証明バッジを見せると、3人は規制線の中に入れてもらえた。渡が宮下に訊く。


「なぜ埼玉県で起きた事件に警視庁の刑事である君が派遣されたんだ?」


「ひとつは、被害者と、一緒にいた学生全員が東京都民だからです。ただ、もっと重要なのは、その巨大生物というのが、テロ攻撃のために密輸された生物兵器かもしれないから、という理由ですね」


番号のついた黄色いプラスチックの三角錐の目印が置かれた場所には、ツンと鼻をつく匂いにする茶色の塊があった。遠山が顔をしかめて言った。


「アンモニアだな。それも尿酸じゃなくて、アンモニアそのままの形で排出されている。僕が蛇の仕業としては変だと思ったのはこの点なんです」


渡が鼻をつまんで臭いに顔をしかめて遠山に訊く。


「それじゃこれは、その巨大生物の糞か?」


宮下がタブレットの画面を二人に見せながら言った。


「この中から発見された遺留物です」


その画面に映っていたのは、指輪、服の金具などだった。造りから女性物と分かる。渡がますます顔をしかめて言う。


「まさに人食いだな。だが、この糞は地中から押し出されているな」


遠山がうなずき、宮下が目を細めて質問する。


「その生物は地中で暮らしているという事ですか?」


遠山が答える。


「蛇のように脚がない動物は、普段は土の下に穴を掘って潜んでいるんです。そろそろ宿へ戻りませんか? 今日の夕方には大学から分析の結果が届くはずです」


麓のホテルへ戻り、相部屋の渡と遠山の部屋へ宮下が訪ねて来た。ホテルの浴衣に着替えた男二人の部屋へスーツのままの宮下が入り、備え付けの椅子に座る。


「分析結果は届きましたか?」


遠山がうなずいてタブレットの画面を渡と宮下に示す。


「助かった二人の女子学生も数日、呼吸困難などの体調異常に苦しみました。彼女たちの体から検出された毒物の正体が分かりましたよ。バトラコトキシンだそうです」


宮下が訊き返す。


「バトラコトキシン?」


「南米のヤドクガエルを知っていますか? 原住民がカエルの体表から取った毒を矢や吹き矢の先に塗って、大型動物を狩る時に使います。生物が作り出す物としては世界で2番目に危険な猛毒です」


渡があごひげをしごきながら言う。


「両生類という事か?」


遠山がうなずいて言葉を続ける。


「毒液を口から吐いたという事でしたよね。蛇の毒は牙から注入させる物であって宙に飛ばしたりはしない。それは一部の両生類の特徴です」


宮下が小さくうなずきながら訊いた。


「ですが、大蛇と見間違えるような両生類なんているんですか?」


「サイズは別として、蛇そっくりの両生類はいます。これを」


遠山がタブレットに出した写真には、脚が全くない、ミミズのような形の体表の細長い生き物が映っていた。


「アシナシイモリと言います。蛇みたいですが、両生類です。原始的な両生類はアンモニアを尿素に変換する能力がなく、そのまま排出する。このアシナシイモリの突然変異が犯人だとすれば、今回の事件の特徴はだいたい説明がつきます」


宮下がさらに訊く。


「なぜ人間を襲ったんでしょう?」


「ほとんどの両生類はれっきとした肉食です。学生たちが目撃した頭部から推定すると全長20メートル。人間が餌に見えても不思議はない」


渡が急にホテル備え付けのメモ紙に何かを書き、宮下に尋ねた。


「ある化学物質が、あの場所の土壌に含まれていないかどうか、警視庁のラボで調べてもらえるかね?」


宮下はうなずいてメモを受け取り、目を通して首をかしげた。


「たんぱく同化剤? 今回の件と何か関係があるんですか?」


「可能性はある。それは20年ほど前にドーピングに使われて問題になった物だ。発がん性が高いので今では製造も使用も禁止されている」


遠山もメモをのぞき込みながら言う。


「これは僕も知らないな。何の選手のドーピングです?」


「人間じゃない。馬だよ」


「馬?」


「競馬の競走馬だ。万馬券を連発させた競走馬が昔いてね。だが、レース後の検査でその薬剤でのドーピングが発覚して万馬券は無効になった」


「よくご存じですね、渡先生」


「その万馬券をパーにされた中の一人だったもんでね」


渡の推測は的中した。事件の現場一帯の土壌から、高濃度のたんぱく同化剤が検出された。その化学物質の製造が禁止された際、メーカーの一社が大量の物質を産業廃棄物の違法投棄の場所に捨てていた事が警視庁の捜査で判明した。


さらに町役場の調査で、その違法投棄場所の土が15年前に大量に、事件現場の一帯に運び込まれ、地面をかさ上げする、いわゆる盛り土に使われていた事も分かった。


高濃度のたんぱく同化剤を摂取したアシナシイモリが巨大化し、夕立の後にたっぷり水分を帯びた地表にはい出て学生を襲った。それが遠山が出した結論だった。


宮下は警視庁を通じて防衛省に協力を依頼。陸上自衛隊が害獣駆除のための災害派遣の名目で、巨大生物退治に派遣された。


夕立が起きると予想された作戦当日、巨大生物が潜んでいると思われる複数の場所に解体された牛の肉の大きな塊が置かれ、地中に振動を送り込むための小型爆薬が埋められた。


渡、遠山、宮下も少し離れた場所で立ち会った。午後4時頃になって予報通り激しい夕立が起き、それがやんだところで、地中浅くに埋められた爆薬が一斉に炸裂した。


地面のあちこちから、巨大なアシナシイモリの長い首が飛び出した。牛の肉塊にかじりついたところを狙って、自衛隊員が一斉に機関銃を発射した。


計8匹の巨大なアシナシイモリはグエッグエッという不気味な叫び声を上げながらのたうち回った。その光景を見た遠山がつぶやいた。


「まるでヤマタノオロチだ」


6匹はそのまま絶命し、地中に引っ込んだ2匹の通った穴には火炎放射器が差し込まれ、炎が上がった。


撤収して行く自衛隊の部隊を見送りながら、遠山がつぶやいた。


「こんな事は二度と起きて欲しくないな」


だが渡はあごひげをしごきながらこう言った。


「最初で最後ではなかったかもしれんぞ」


宮下が怪訝な顔で訊く。


「以前にもこんな事があったと?」


「あの川のもっと上流、長野県の佐久市という所にはヤマタノオロチゆかりの神社がある」


「ヤマタノオロチは|出雲国《いずものくに》、今の島根県の伝説でしょう? ここは関東ですよ」


「ミズチという伝説の怪物を知っているかね? 水のオロチといったところだ。このミズチの伝説は日本各地にある。大蛇だと考えられていたが、口から毒を吐きかけたという話が多い。今回のあの化け物と似ていると思わんかね?」


遠山が少し青ざめた表情で言った。


「アシナシイモリが巨大化して人を襲った事が昔からあったと?」


渡は盛り土で出来た公園を見渡しながら言った。


「人間が考えなしに自然をいじくり回した結果、自然から予想不能なしっぺ返しを食らう。これからも起きないとは限らん」


それから半月後、巨大台風が日本列島を縦断した。関東地方はその直撃を受け、各地で川の氾濫などの被害が起こった。


さらに1週間後、遠山のスマホに渡から電話が入った。渡から電話とは珍しい事もあるもんだと思って通話に出た遠山は、思わず耳からスマホを話した。渡があまりの大声でがなり立てたからだ。


「遠山君! あの警視庁の宮下という刑事に連絡を取れ。大至急だ!」


「ど、どうしたんですか、渡先生」


「ニュースを見とらんのか? 土石流が発生したんだ、あの怪物騒ぎがあったあの場所で。あの公園の盛り土が崩落したんだ!」


翌日、渡、遠山、宮下の3人は彼女が運転する覆面パトカーで、あの山の麓へ行った。


川の近くは規制線が張られて立ち入り禁止になっていた。3人はぎりぎりまで近づき、公園があった山肌を見つめていた。


宮下がタブレットの画面を見ながら二人に告げた。


「盛り土の大半が崩れ落ちて、川に流れ込んだそうです。ひどい手抜き工事だったようですね。土木の専門家が呆れていたそうです。排水設備もなく、地盤強化も形だけで、今まで崩れなかった方が不思議だったと」


平らな地形がほとんど失われ、本来の山の斜面がむき出しになった光景を見ながら、遠山がため息をつきながら言った。


「この前の台風の大雨で地盤が崩れたんですね。その手抜き工事やった業者は摘発されるんですよね?」


だが宮下は首を横に振った。


「その会社は3年前に倒産して、関係者も大半は所在不明です。もし時効が成立していれば、責任追及は難しいでしょうね」


渡が眉をひそめながら言う。


「一番の問題はあのアシナシイモリだ。土石流と共に川に流れ込んでいたら」


遠山がぎょっとした表情で言う。


「いや、自衛隊が8匹とも駆除したじゃないですか」


「あの8匹で全部だったと何故言い切れる?」


遠山と宮下がアッと声を上げた。宮下が言う。


「あれ以外にも棲息していたと?」


「可能性としては否定できまい。あそこまで成長していない、小型のやつや幼生がまだ地中に潜んでいたとしても不思議はない」


遠山が遠慮がちに言う。


「確かに両生類ですから、水中でも生きられますが。しかし、幼生や小型の物なら他の生き物に捕食されてしまうのでは?」


渡はあごひげをしごきながら応えた。


「それは運だな。だが、問題はこの川の先だ。これは荒川だぞ。どこへつながっている?」


遠山が自分のタブレットに地図サイトを出して指でなぞる。


「秩父盆地のあとは、関東平野を流れて埼玉県。そして東京都内に!」


渡が遠山のタブレットの画面に指を添える。


「そしてここで分岐している。この支流は何だ?」


宮下がヒュッと息を呑んだ。


「隅田川!」


遠山がおびえた口調でつぶやいた。


「まさか、東京都心に巨大化したアレが出現して、人を襲う?」


渡は川の下流の方向をながめながら言った。


「そうなるかどうかは分からんし、その時はもう我々学者の仕事じゃない。警察と自衛隊にはせいぜい注意を払ってもらうしかない。特に夏場の夕立の後にはな」

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