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私立杉野山高校に入学してから、3ヶ月が経った暑い暑い夏の頃。
これ程快晴で、セミも元気に鳴いているというのに俺は何故か現在進行形で虐められている。
くだらないと、自分でもそう思う。
ただ、これまた人間の不思議なところで、人を殴り蹴り痛めつけ罵倒を浴びさせるのに快感を感じる輩が現にここに居るのだ。
そして、その的がたまたま俺だった。
――ただ、それだけだ。
――『スクールカースト』。
言うならば、原因はこれだろう。
スクールカーストとは、あまり言いたくないが「陰キャ」や「陽キャ」に近しい。
陰と陽、それによって自然に形成される。
この地位は誰が決めたものでもない、 自然に周りが認識するものだ。
そして、俺は所謂「三軍」。
いや、そもそも三軍にさえも属せないだろう。
三軍は三軍でも、同じ境遇同士で趣味友が出来て意外と青春を謳歌することができるが――。
残念ながら俺はそのような友も居なかったのだ。
当然、護ってくれる友達は居ず、クラスメイトも知らんぷり。
先生は――言わなくても分かるだろう。
所詮、そんなものだ。
アニメのような誰にも好かれる主人公なんて居ない、そんなの幻想だ。
――俺はそんな幻想を抱かない。
むやみに挑発しない、抵抗しない。
ただ、時間が過ぎることだけを待つ。
そうしておけば、面倒な事は起こらないのだ。
――7月8日。
俺はインフルに掛かっていた。
その為、1週間ほど休んでいた訳なのだが――
靴箱を開ける。
「おっと……」
どうやら他の方と靴箱を間違えたようだ。
――おや?
「釘が無い……!」
確認したが、しっかりと自分の上履きで靴箱だった。
あの暇人共はこの俺の事が好きすぎるあまり、お陰様で毎日のようにバレンタインで釘やら土やらをお見舞されていたわけなのだが……。
とうとう春は過ぎたのだろうか?
――いじめっ子は気まぐれでいじめられっ子をいじめる、殴る、蹴る、罵倒する、からかう。
そのいじめられっ子に非がなくても、だ。
つまり、俺は見事に飽きられたわけだ。
いや、この一週間の間に、 存在を忘れられたのか?