kn side
目が覚めると、最愛の人が隣で眠っている
それだけのことで、生きていて良かった、と思う俺は、何て単純な人間なんだろう
だけど、今はそれで良いと思った
彼との大切な、この僅かな時間の幸せを、噛み締めることが出来るから
kn「……」
亜麻色の、柔らかい髪に触れる
そのまま頬をなぞり、唇の上で指を止める
br「んぅ……」
そのまま、血色の良い、きれいな唇に口付けを落とす
br「ん……きんとき……?」
kn「ッ……おはよう、Broooock。
ごめんね、起こしちゃった?」
br「ん~ん、今起きたから」
そう言い、彼はにこりと俺に微笑む
そんな彼の表情を見る度に、俺の心は高鳴り、これを他の男に見せていると思うと、嫉妬で気が狂いそうになる
br「きんとき、今何時?」
kn「ん?今は……6時」
br「そっか……じゃあ、そろそろ帰んなきゃね」
そう言い、彼は床に散乱している衣服を拾い上げ、身に付けていく
kn「うん……ねぇ、Broooock。我が儘言って良い?」
俺は後ろから、甘えるように、縋るように、彼を抱き締める
kn「まだ一緒に居たい」
br「うん、僕も」
彼も俺の腕を抱き、思いに応えてくれる
br「でも……もう帰らなきゃ」
kn「うん……」
そっか……。
彼には家で待っててくれている人がいるんだ。
br「じゃあね、きんとき。また今度」
kn「うん、また」
そう言い、彼と唇を重ねる
kn「愛してるよ、Broooock」
自分の思いを素直に伝えると、彼は頬を赤らめながら、ずるいよ……と呟いた
そして、此方を真っ直ぐと見据え
br「僕も……愛してる」
そう言い、恥ずかしそうに はにかんだ
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自宅の前に着くと、タッチパネルを操作し、自分の部屋を開ける
部屋へ辿り着くと、カードキーをかざし、ガチャリとドアノブを捻り
kn「ただいま」
と、誰もいない空間に向かって声を掛ける
kn「……」
荷物をソファへ乱雑に置くと、寝室へ移動し、ベッドに寝転んだ
ふぅ……と一息を吐き、瞼を閉じる
また やってしまった。
もうやめなきゃいけないのに。
この関係は在ってはいけないものなのに。
彼の、瞳が、声が、身体が、俺の心を絡めとって離してくれない。
最初は、ちょっとした憂さ晴らしのつもりだった。
いつも幸せそうに微笑み合う2人の姿を見て、
“壊してやりたい”
そう思ってしまったんだ。
だから、Broooockが、”きりやんが構ってくれない”と相談して来たとき、つい
kn『俺なら、Broooockのこと、誰よりも大切にするのに』
そう、本音を雫してしまった
“ヤバイ”と思って、撤回しようと顔を上げると、彼が顔を真っ赤にして
br『ほんと……?』
と、君がそう言ったから、悪魔が俺の心を支配したんだ
kn『うん……ほんと』
そのまま、彼の唇を奪い、きりやんから、Broooockの身体と心を奪った
ごめんね、Broooock。
俺は、君に数え切れない程の嘘を吐いている。
ほんとは、こんなつもりじゃなかった。
ただ、魔が差してしまっただけなんだ。
君は、俺を共犯だと思ってるだろうけど、ほんとは違う。
君は”被害者”なんだ。
ごめんね……Broooock。
ごめんね……きりやん。
本当にごめんなさい。
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?? side
「Broooockはさ、気付いてるのかな」
俺は、眼鏡を弄びながら、目の前の彼に声を掛ける
「何に?」
「俺らがこんなことしてること」
「さぁ?……てか、眼鏡返して」
「あぁ、ごめんごめん。はい」
彼の眼鏡を返すと、彼はそのままそれを寝台の上に置いた
「前聞いたときは、気付いてないみたいだったけど」
そう言い、彼は俺の顎下まで伸びきった前髪をかき分け、額に唇を落とした
「そっか…、ねぇ……早くBroooockと別れてよ」
早く俺だけのものになって。
「うん……またBroooockに言ってみるよ」
そう言い、彼は俺に口付けを落とす
それは段々深くなっていき、俺達はそのままベッドに深く沈んだ
「愛してる」
「うん…俺も、愛してる 」
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——嗚呼、共に過ちを犯した、醜くも美しい君を
俺は今日も “愛してる”
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