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――ちゃぷ……
「はあ~~~~…………」
広い浴槽に足を伸ばして浸かる。やっぱりお湯に浸かるのはいいな。疲れが取れる気がする。風呂の中にキッドがいなけりゃもっとくつろげるのにな!!!!!!!
あの後結局俺は押し切られて一緒に風呂に入っている。まじで意味わからん。能力者のお前が入るから半ば強制的に半身浴じゃねえか。お湯の量増やして動けなくしてやろうか。
ブクブクと息を吐いてからぱしゃんと顔を湯船に沈める。そんなことをしていると、キッドが湯船に入ってくる。そこそこ広い湯船だが、男2人が入ると広さを感じなくなるな…。
「お、オア、よ、寄ってくんな」
「あ?」
動揺して上手く喋れない。どちらかと言えば長風呂派の俺だが、今だけは早々に上がりたいし、何より頭ん中が茹だりそうだ。
「近い……っ、離れろ」
「別にいーじゃねぇか」
よくない。
「俺、もう出るわ」
「もう少しいいじゃねぇか、つれねぇな」
そう言いながらキッドは俺の腕を掴んだ。
そして、そのまま引き寄せられる。――ばしゃんっ――と、大きな音を立てて俺はキッドの上に倒れ込んだ。え、まって、待って、待って、ちょっと、ちょっと!!!!
俺が混乱していると、今度は腰を掴まれて抱き寄せられる。俺は咄嵯に体を離そうとするが、それよりも早くキッドが俺の顎を持ち上げて無理矢理目線を合わせてくる。
「ジェイデン、キスしたい」
「ダメだって、言ってるだろバカか」
「口にはしない」
「そういうことじゃないと思うんだが…」
「したい」
こうなったらもう聞く耳を持たないのはよく知っている。俺は諦めたようにため息をつく。
「……分かったよ」
キッドの頼みを了承すると、まずキッドは俺の瞼に優しく唇を落とした。それから頬や額にも軽く触れていく。俺は目を瞑ってそれを大人しく受け入れる。一回許可したらすぐこうだ。確かに唇にはしていないかもしれないが、これはこれで恥ずかしいものがある。
「痕、つけていいか?」
「だめにきまってるだろ…」
「今つけたらしばらくお前にキスをねだらない」
「ぐ…」
それはちょっと……いいかもしれないな……。断るのにも体力が要るし、正直しんどい。
「……………いっかしょだけだぞ」
ここでただ「いい」とだけ言えば俺の体はたちまち所有印だらけになることだろう。だから、1カ所だけ。
キッドは〝待て〟を解除された犬のように俺の首筋に吸い付いた。ぢゅっと強く吸われる感覚。少し痛いが我慢できないほどではない。暫くすると、キッドが顔を上げた。満足そうな顔をしている。
……目立たないところにつけろって言えばよかった。これ絶対目立つところにつけただろこいつ。
「もうあがるからな。いい加減逆上せる」
「おー、俺も一緒にあがる」
そう言って俺達は浴室から出た。脱衣所で寝間着に着替えながら悶々と考える。原作が始まるまであと4年くらい。のんびりと、呑気に過ごせたらいいなと思っていたのに……どうしてこんなことに……。
はあ……と、思わず深い溜息が零れた。