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sideシャルルダルク
俺はマリーナに合わせる顔が無かった。
あの口づけは彼女が震えて居たからでは無い…
いや、それもあるかもしれないが…
ただ、彼女の唇を奪いたいと、そう思ったのだ。
彼女の唇はこの世の何よりも柔らかく、温かかった。
ほんの数秒の事なのに、永遠の時間に感じられた。
そして、俺ともあろう者が、彼女と口づけを交わして以来、女遊びをしていない。
誰と一夜を共にしようと、思い出すのは、彼女の吐息と唇の熱だけだった。
はぁ…
俺もウブなものだ…
遅咲きの初恋とはこの事か…
誰かに恋占いでもしてほしい気分だ。
などと言ったら、きっとレガットは大笑いするだろう。
あれだけ浮名を流しておいて、初恋もまだなのか、と。
しかし、一体どんな顔をしてマリーナと会えばいいのか?
向こうは何とも思って無いのか?
それはそれで腹が立つ。
しかし、明後日にはキーラと腹違いの弟サバライカとの結婚パーティーがある。
きっと、マリーナも出席するであろう。
何と声をかけようか?
俺はそんな事ばかりを考えていた。
そして、結婚パーティー当日。
俺はグレーに銀色の刺繍のしてある洋服に袖を通した。
白のリボンタイをして、金の髪をオールバック気味に固めた。
宮殿の出口でレガットと会った。
レガットは紺色の礼服を着ており、少し長めの金の髪をハーフアップにしている。
「おや、兄上。
お久しぶりにございますね。
いつも、マリーナの薬部屋に入り浸りの兄上が、どこを探してもおりませぬゆえ。」
「ふん。
政務で忙しかったのだ。」
「ま、そういう事にしておきましょう。」
レガットは意味あり気に笑い、そう言った。
俺たちは王都メイナスのホテルに向かった。
「マリーナと何があったのですか?」
レガットが探りを入れてくる。
「何もない。」
俺は短く答えた。
「ふぅん…?」
かなり疑われているようだ。
そして、馬車はホテルに到着し、俺たちは1階のパーティー会場へ入った。
マリーナを探す、俺とレガット。
マリーナはオレンジの蝶々の柄のドレスを見に纏い、髪を高く結い上げ、ローズクォーツのイヤリングをしていた。
華奢で小柄ながらも、他の姫君に引けを取らぬ美しさで、周りに男どもの輪が出来ていた。
ちっ!
虫が多いな!
俺はマリーナの元に行く。
「シャルルダルク様…」
「今日のそなたは天の蝶のごとき美しさだ。」
俺はそう言って、手を取りキスをする。
どうもあの事を思い出し、顔が赤くなってしまう。
「シャルルダルク様も素敵にございまする…」
「あぁ…」
何と喋ってよいか分からずに、それだけ言い、シャンパンをがぶ飲みした。