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あれからしばらくして理仁さんは海外へと飛び立った。連絡は何度かあったけど、見て見ぬふりをしてしまった。



『遠くから理仁さんの幸せをずっと祈っています。お体に気をつけてお仕事頑張って下さい』



最後の最後、ただそれだけメッセージにして送信した。



呆気なく終わった私と理仁さんの時間。

確かに私は……理仁さんを好きになっていた。

好きな人に抱かれ、幸せだった。



別れを選んだのは、あまりにも生きてきた境遇が違うから。私といたら理仁さんが幸せになれない気がして、どうしても自分の気持ちに素直になれなかった。



そして、何より傷つくのが怖かった。



寂しい。

自分で選んだ結果なのに、理仁さんとの出会いからあの夜のことを思い返しては、涙が溢れた。

それでも頑張って前を向かないと……

私には、借金を返して夢を叶えるっていう希望があるんだから。



「ねえ、双葉ちゃん。最近何だか元気ないよ? 詐欺にあった時みたいに沈んでない?」



もみじちゃんがノックもせずに部屋に入ってきた。



「そ、そうかな? 別にいつもと同じだよ。もみじちゃんこそ執筆どう?」



「うん、何とかね。でもなかなか良いアイデアが浮かばないのよね~」



「そっか……作家さんって大変だよね。私には絶対無理だよ。もみじちゃんはすごいよ。自分の夢に向かってちゃんと進んでる」



「双葉ちゃんも頑張ってるよ~。詐欺にあってもめげずに借金返してて。恋愛もせずに偉いよ」



もみじちゃんも彼氏いない……よね。



「そうだね。彼氏も欲しいよね」



「双葉ちゃんなら頑張れば彼氏できるし、恋愛系のアプリとか登録してみたら?」



「私はいいかな。自然の出会いを期待してみる。もみじちゃんこそ、可愛いんだからやってみたら? きっとモテモテだよ」



「ほんと~? やってみようかなぁ」



化粧はあまりしないもみじちゃんだけど、肌は綺麗だ。眼力があるし、可愛い雰囲気だから、きっとたくさん反応があるだろう。



それからしばらくもみじちゃんは部屋に居座った。

友達ではない、家族でもない、同じ家に暮らしている、いとこ同士という私達の関係は複雑だ。



夜になってベッドに横になり、天井を見つめながら思った。

詐欺のことがあって、もう恋愛はしないと決めた。

だけど、理仁さんへの想いを引きずったまま生きるより、新しい恋をして、私なりに前を向いて進んだ方がいいのかな?

確かに、借金返済からは逃れられないけど、仕事だけの人生もつまらない。もし身分にあった恋愛ができたら……



私も、少しは幸せになっていいのかな?



それは双葉の強がりだ――

理仁さんを忘れられるわけがない!



突然、心の声が聞こえた。

慌てて振り払う。



そうだ。

理仁さんはもういないけど、またプールに通ってリフレッシュしよう。健康のため、あと、見た目も少しは綺麗になれるように。



松雪 双葉、26歳。

これからは、新しい人生を切り開いて前を向く。

過去は消せないけど、縛られたくない。

いつまでもグジグジしてちゃいけないんだ。



こんな風に気持ちを切り替えることができたのは、きっともみじちゃんのおかげ……だね。

世界で1番幸せな私~イケメン御曹司の一途で情熱的な溺愛に包まれて~

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