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これまでの私の人生は考えてみればことごとくヒーローを嫌わざるを得ないものだったと思う
10歳の時
ヒーローだった両親がヴィランとの戦闘中に市民を守って死んだ
このことを世間では【殉職】と言ってみんなから賞賛を浴びた、らしい
そんなこと残された私たちには関係なかった
ただ大好きだった家族が急に死んだだけだった
すごいとか、えらいとか、そんなこと一ミリも思えなかった
両親のお葬式は国が全部やってくれた
大きな会場にたくさんの人とたくさんの花があって遺族席には私と兄の亮だけが座っていた。
周りの人は可哀想だとか、これからどうするのとか、そんなことばかり言ってきたけどなにも答える気なんて起きなかった
私は黙ったまま笑顔でこちらを見る両親の写真を見つめる。
亮は私の分も含めてなにか言葉を返していたけど私は一度も話さなかった
棺桶に花を入れる時
2つ並んだ棺桶の中に入る冷たくなった両親を見てもう二度と家族4人で笑い合うことはないのだと理解した
その途端さっきまであんなに冷静でいられたのにわんわん泣く私を亮は抱きしめて泣きやませようとしてくれたけど周りはまた可哀想だと言った
その時だった
オールマイトと名乗る大きな男が話しかけてきた。
その人は悲しそうに微笑みながら、
オ「君の両親はとても立派なヒーローだったよ
困っていることやしてほしいことがあったら何でも私に言いなさい」
そう言って私たちの頭を撫でた
何でも?この人は何でもできるのか?
涙を拭ってオールマイトと目を合わせる
当時の私は少しヒーローに興味があったからオールマイトなら何でもできると過信した
だから、
『じゃあ、お父さんとお母さんを返して』
私がそう言うと彼はとても驚いた顔をしたし後ろからはヒッと怖がったような声が聞こえた
『ほしいものはないから
お父さんとお母さんを返して』
私の言葉に悲しそうに、それだけは叶えてあげられないんだ、と俯いた
子供だった私には理解ができても納得はできなかった
『何で!!!
何でもしてくれるって言ったじゃん!!』
亮「翡翠…」
『…何でお父さんとお母さんが死ななきゃいけなかったの!?
みんな生きてるのになんで!?』
亮「翡翠!落ち着『なら』翡翠?」
『…お父さんとお母さんが死ぬくらいなら
周りなんて 亮「翡翠ダメだ!」っ』
(助けなければよかったのに)
その言葉が出る前に亮は私の顔を肩に押し付けた。私はまたわんわん泣いて亮は私を引っ張って家に帰った
『お前ら待ってろよ!お前らを絶対に…….絶対に殺してやる!!私が、死んでもお前らのことをずっと恨んでるからな!!』
あの頃の私は、復讐の炎で瞳が燃えていた。