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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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大理石の床を濡らすのは、微かに薔薇の香気を孕んだ湯気と、激しく波打つ水音だけだった。
FORSAKENの本拠地の奥深く、主とその最側近にのみ許された広大な湯殿。
溢れ出る湯が白磁の浴槽から床へと贅沢に流れ落ち、薄暗い空間を濃密な熱気が支配している。
ノスフェラトゥは、浴槽の淵に両手をかけ、主の足元に伏せていた。
かつて彼を包んでいた格式高い貴族の衣服はすべて剥ぎ取られ、いまや一糸纏わぬ肢体が、湯に濡れて妖しく 月光を反射している。
だが、その滑らかな肌のあちこちには、調教の残響である赤紫の烙印や痣が、じくじくと熱を放ちながら 浮き彫りになっていた。
彼のすぐ目の前には、浴槽の端に優雅に腰掛け、大理石の淵に片脚を投げ出したスペクターの姿があった。
主のしなやかな素肌には、きめ細かく泡立てられた白い石鹸の泡が、まるで極上の絹のようにまとわりついている。
「自分からは決して触れられない」という鉄の掟は、この湯浴みの場であっても、いや、衣服という境界線を失ったこの密室だからこそ、より残酷なまでの絶対性を持ってノスフェラトゥを縛り付けていた。
「どうしたんだい、ノスフェラトゥ。ただの湯浴みだというのに、随分と 浅ましく 震えているじゃないか」
赤いシルクハットの無い、濡れた黒髪を無造作にかき上げたスペクターが、底冷えするような、しかし理性的で愉悦を孕んだ瞳で彼を見下ろす。
「あ……、は……っ、主、様……スペ、クター……っ」
ノスフェラトゥは喉を震わせ、生唾を飲み込んだ。
衣服の檻から解放されたはずの肉体は、主の視線を浴びるだけで、まるで目に見えない鎖で縛られたかのように硬直する。
湯の熱さとは異なる、下腹部をじりじりと灼く狂おしい渇き。
それをあざ笑うかのように、スペクターは泡のついた己の右足をゆっくりと持ち上げ、ノスフェラトゥの 汗と湯水に濡れた胸元へと 容赦なく 添えた。
「――っ! ひ、あ……っ」
冷たい大理石の感触のあとに伝わる、主の素足の圧倒的な質量と体温。
そして、皮膚の境界線を滑る、石鹸の泡の 恐ろしいほどに 滑らかな 触感。
スペクターは、泡にまみれた己の足の裏と指先を使い、ノスフェラトゥの鎖骨を、じわじわと体重をかけるようにして 撫でさすった。
石鹸の泡が摩擦を完全に消し去り、その代わりに、主の指の形や骨の硬さが、ダイレクトにノスフェラトゥの神経を狂わせていく。
主の素足が滑るたびに、肌の上で白い泡が弾け、じくじくと疼く烙印に 痛烈な 刺激を叩き込んだ。
「ん、あ……っ、あぁ……っ! 足が……直接……っ」
「ただの愛撫だよ。衣服がない分、私の形がよく分かるだろう? ほら、もっと私を愉しませる啼き声を聞かせてごらん」
スペクターは唇の端を酷く歪に吊り上げると、胸元を弄んでいた足を、さらに深く、ノスフェラトゥの細い腹筋をなぞるようにして 下方へと 滑り込ませた。
泡のついた素足が、ノスフェラトゥの太腿の内側、かつて革靴の先で徹底的に蹂躙された 最も敏感な熱の中心へと、 容赦なく 割り込んでいく。
「まっ、……っ! そこ、は……っ、主様……っ!!」
逃げ場のない大理石の床の上で、ノスフェラトゥは背中を大きくのけぞらせた。
主の素足の指先が、泡の滑らかさを利用して、彼の最も 恥ずかしい 境界線を 執拗に、かつ 暴力的とも言える 巧妙さで 挟み込み、 弄び始めたのだ。
衣服を隔てた蹂躙とは違い、皮膚と皮膚が、泡という背徳の潤滑剤を挟んで 直接 擦れ合う 異常な 官能。
主の 足の指が 彼の 溢れ出る 歓喜の 蜜と 混ざり合いながら、 限界を 疾うに 越えていた 熱源を 深く 抉り、 圧し潰していく。
「あ、ぐ……っ、は、あ…っ! 主様、お前の、その、足で……私は、……っ」
自分からは 決して 触れられない 主の 素肌。
それが 今、 泡に まみれて 自身の 汚い 欲求を 完璧に 支配し、 弄び尽くしている という 事実。
ノスフェラトゥは 溢れる 涙で 視界を 完全に 濡らしながら、 自らの 内腿を 蹂躙する 主の 足首へ、 縋るように 両手を 伸ばしかけた。
しかし、「触れてはならない」という 本能的な 恐怖が 彼の 手を 宙で 彷徨わせる。
その 徹底的な 従属の 姿が、 スペクターの 愉悦を さらに 煽った。
「そう、触れてはいけないよ。ただ 私の 足の裏で、 泡に 塗れて、 惨めに 狂っていなさい」
頭上から 降る 慈悲深い 宣告と 同時に、 スペクターは 踏み込んでいた 足の 力を 一気に 強め、 彼の 熱の中心を、 靴底よりも 遥かに 濃密な 質量で 根元から 強く 擦り上げた。
「――っっ!!!! ぁ、あ……あ、 あーーーっっっっ!!!!」
脳の 許容量を 完全に 凌駕した、 致死的な 快楽の 爆発。
ノスフェラトゥの 視界は 鮮烈な 白い 火花で 満たされ、 喉からは 言葉に ならない 絶頂の 悲鳴が ほとばしり出た。
身体が 激しく 弓なりに 痙攣し、 豊かな 黒髪が 湯水で 濡れた 床に 乱暴に 散らばる。
唇の端からは 堰を切ったように 吐息と 水滴が 溢れ、 彼は 主の 泡のついた 素足の 下で、 完全に 理性を 解体されながら 絶頂の 深淵へと 突き落とされた。
溢れ出た 歓喜の 証が、 湯水と 石鹸の 泡に 混ざり合って、 大理石の 床を 白く 汚していく。
ノスフェラトゥは 激しく 身を震わせたまま、 主の 足元に 力なく 頽れた。
主の 足は 離れる ことなく、 絶頂の 余韻で びくびくと 震える 彼の 腹部を、 慈しむように 優しく 踏み押さえている。
衣服も、 誇りも、 すべてを 湯に 溶かされ、 ただ 主の 素足の 質量の中だけで 生かされる 絶望的な 恍惚。
ノスフェラトゥは、 自身の 内側が 完全に 主の 色彩だけで 満たされていく 歓びの中に、 溺れていくのだった。