テラーノベル
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芙月みひろ
92
#王子
画面中央に表示された、無機 質なフォント。 『Status: 200 OK / System Integration Complete』
「……終わった。本当に、ついに終わったんだ……」
僕はキーボードから手を離し、椅子の背もたれに深く沈み込んだ。身体の芯は鉛のように重く、視界には砂嵐が走っている。無謀な3ヶ月という納期。迷宮と化した札幌の旧システム。さらには涼香たちが無理にねじ込んだクラウドシステムのバグだらけの改修作業……。
(エンジニア人生で、一番長い3ヶ月だった……)
あまりの疲労に意識が暗転しようとしたその時。
「おめでとう陽一さん! これですぐに同棲、来月には入籍、再来月にはハネムーンね♡♡ いますぐパパに報告に行ってくるね~!」
背後から聞こえてきたのは、一切の迷いがないフルスロットルな白石さんの声。 けれど、今の僕にはその高濃度すぎる愛を受け止めるメモリは1ビットも残っていない。
(……ごめん、白石さん。今の僕は……『応答なし』なんだ……)
僕は返事すらできぬまま、机の上で屍と化した。
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