無事、闇から脱出した俺たちはミノリ(吸血鬼)の固有武装を鎮圧するために共闘するのだが、その前に少し気持ちの整理をしておこうと思う。
「なあ、ミノリ」
「なに?」
「お前、固有武装なしで飛べるのか?」
「うーんと、なんとなくこうすれば飛べるっていうイメージがあるから血で翼を作って飛ぶわ」
「そうか。じゃあ、もう手をつなぐ必要はないな」
俺がミノリ(吸血鬼)の手を離そうとすると、彼女はギュッと俺の手を握った。
「おい」
「な、なによ」
「俺はいつまでお前の手を握っていればいいんだ?」
「えっと、固有武装が暴走したのはあたしの気持ちというか強欲な部分が暴走したせいなの。で、あれがあたしとまた一つになった時、強欲な部分が襲いかかってくるのよ。だから、その……」
「要するに今のお前は主にメンタル面が弱くなってるから俺と手をつないでいないと負けそうになるんだな?」
「そ、そう! その通りよ! ナオト! よく分かったわね!」
「そんなの言われなくても分かる。けど、あんまりのんびりしていると、またやつの闇に飲み込まれるぞ」
「そうね。けど、大丈夫。昨夜は一人で戦ってたけど、今はあんたがとなりにいるから」
そっか。お互いの存在が心の支えになっているんだな。
「そうか。じゃあ、やるか!」
「ええ!!」
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
なあ、ミノリ(吸血鬼)の固有武装。
お前はミノリ(吸血鬼)を守ろうとしてくれたんだよな?
けど、結局闇に閉じ込めることになってしまった。
今さら、もっといい方法があったんじゃないのかと問い詰めたりはしない。
けど、今のお前を放置しておくわけにはいかない。
じゃないと、俺の……俺たちの旅を続けることができなくなるから。
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