テラーノベル
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あれから少し経って、俺はここのお屋敷に来てから三ヶ月くらいになった。今日はもふくんがなにもないって言ってたからそろそろ来て鎖、外すかも。結局枷は外したくなくて毎日肌身離さずつけてるけど、鎖はやっぱり音が苦手で夜以外はつけてない。一応誘拐だからって夜だけはつけていてほしいらしい。
最初は怖くて話せなかったけど、今は結構話せるようになってかなり会話が弾む。一緒にいると安心して頬が緩んでまた可愛いって言われて嬉しくて…それの繰り返し。
…繰り返しなのかな、最近は病気のように胸がずきってして、もふくんは特に問題なさそうって言うから別に心配はしていないけど、もふくんのことを考えてる今だったりもふくんと話していたりたまにおでかけに行くときとかとにかくもふくんに関わるときにしか起こらない。痛くてもどかしくて原因がわからなくて、もふくんは知っていそうな瞳で笑って分からないって悪戯っぽく笑って…どうしたらいいんだろう。
「どぬ〜、」
「あもふくんだっ、今開けるー」
ガチャ
俺も体が普通の人のようにスムーズに動くようになって、あの重いドアも開けれるようになったんだよね、嬉しいな。
「おはよう、どぬ」
「おはよ、もふくん」
「複雑な顔、どうした?何かあった?」
「な、なにもないよ!俺久しぶりにもふくんとお出かけしたいなーなんて、」
「そ、そう?っしゃ、じゃあお出かけしようか。」
流石の鋭いメガネ、一発で俺の心を見抜こうとする。バレなくてよかった、もふくんに迷惑かけたくないし、
「どぬ、どこ行きたい?」
「ん、どこでもいいよ〜」
「毎回それじゃん、じゃあ記念すべき三回目のお出かけ、俺がとっておきのプランで連れて行こうか、」
「やった、」
「じゃ、着替えよう一旦。」
「うん、」
「これ着る?」
もふくんが差し出したのはショート丈よりも短いスカート、袖から手の出ない長さのワンピース?みたいなやつ。リボンとかきれいに付いていて明らかにお高い。高級品だ。
「え”」
「どぬのこれ着た姿みたいなー、」
「えぇっ…」
「時間なくなっちゃうなぁ…」
もふくんは俺が着るってわかってて焦らしてくる。ずるいな、そういうところ、
「き、着るからっ、ちょっと待ってっ、」
「…」
「ちょっ、ねぇっ俺着替えれないじゃん、見えないところで待っててよっ、」
「えー男だからパスで」
「いやっ」
「…」
「ねぇっ!」
「…」
「もういいっ、着替えるからねっ!?知らないよっ!?」
「ん、」
「待ってたんでしょどうせ、俺がせっかちなの知ってるくせに」
バサバサッ
「腰細」
「ちょっ、もふくんこっち見ないで、」
「えー、」
「変態じゃんただの。」
「じゃみない」
「うん、」
「着替え終わったよ、」
「可愛い、似合ってる。」
「ッ// ありがと、」
もふくんに可愛いって言われて嬉しくてどこか胸がズキってして複雑。
「どぬってやっぱ女の子だね」
「え、違うよ?」
「いや、こんな女の子の服似合う子いないでしょ、」
「そういえば、もふくん女の子の服たくさん持ってるよね」
これ以上胸が痛いのを抑えられなくて話を切り替える。
「そんなことない、どぬ用に買ってる」
「え、高いでしょこれ」
「似合うんだったらいいでしょ、」
どうやらお坊ちゃまの頭の中はすごいらしい。俺もお坊ちゃまだけど、御曹司だけど…おん、ぞう、しだけどっ、買い物とか自分でお金使うとかしたことないし。
「そっか、」
「うん、俺もこの格好で行く予定だから行こう、」
「たしかに、着替えてたねもふくん、気づいてたけど」
「気づいてたんだ、そろそろ行く?」
「うん!行くっ」
あのあとたくさん遊んで、もふくんと初めて歴史博物館に行って刀の実物を初めて見たり、カフェに行って大好きなハンバーグを食べたり色々楽しんだ。
そして、もふくんが今日のクライマックスといって連れてきたのは、もう忘れたはずの場所だった。
「ここ、って…もふくん」
「ん、ここいつかは連れて来る予定だったんだ、」
「…」
俺の躰、ココロが震える。怖くて、三ヶ月前まで普通にぼんやりと過ごしていた筈なのに恐くて、恐怖で足がすくむ。
「大丈夫、どぬは僕のものだから、絶対あの家にはかえさない。」
「ありがと、」
もふくんは俺を安心させようと言葉をかけてくれる。けれど、もふくんはいつもと違って左目が目が赤くて怖い。大丈夫かな、
「ん、一旦屋根に行く?」
「え?ここの家十五階建てだよ?」
「大丈夫、俺さ
ドラキュラだから。」
「え?」
コメント
2件
嬉しすぎる展開ですね。 嬉しすぎて壁倒立できそうです。 いつも元気もらってます。