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天神みねむ!クリスタルがない人
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銀の棘が床を突き破り、ネネの喉元で止まったまま、廃屋の空気は凍結した。
マイロの瞳に宿る翡翠色の燐光が、暗がりに揺れる。
「ルイ姉。……今、この小鼠になんと言われましたか?」
マイロの問いは静かだった。
それが、かえってルイの鼓膜を刃物のように鋭く裂いた。
ネネに暴かれた「七割の守護」と「三割の情愛(欲情)」。
ルイは、言葉を失って立ち尽くす。
自らの内側にあるドロドロとした熱い塊を、最愛の、そして最も畏怖すべき相手に知られてしまったという羞恥。
「……なんでも、ない。……これ以上、魔力を使えばお前は……」
「……『なんでもない』? 私を辱めたこのゴミを庇って、私を遠ざけるんですか?」
マイロが一歩、踏み出す。
パキパキと音を立てて周囲の壁に銀の霜が降り、ルイの逃げ場を奪うように包囲網を狭めていく。
マイロは、呆然とするネネを視界の端で捉えながら、その指先をルイの喉元に添えた。
「……ルイ姉。貴女の『七割』が私を守るための義務だと言うなら、私はそれを今すぐ叩き壊します……でも、残りの『三割』……それは、絶対に捨てさせない」
マイロの指先が、ルイの首筋に食い込む。
「…んぐ…っ」
苦痛というよりは、逃れられない呪縛の感触。
「…私だって。…私が消えるのが嫌なら、私にこの世にいてもいいって思わせるくらいには愛しなさいよ!」