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「……ルイ姉。……逃げられると、思いましたか?」
マイロの翡翠色の瞳が、至近距離でルイを射抜く。
逃げ場を塞ぐように壁につかれた両手。
マイロは、低い、呪詛のような言霊を流し込んだ。
「逃げるなら折ろう、叫ぶなら奪おう。灰になっても、その魂さえ逃しはしない。愛という名の枷に繋がれ、我が腕で朽ち果てよ」
ルイの身体が、一瞬で総毛立つ。
聞いたこともない、けれど魂の根源に直接響くような、凄絶な誓約。
「永劫の契約」
囁かれた瞬間、ルイの思考は白く染まり、騎士としての意識が完全に飛んだ。
自分の魂が、今、決定的にマイロの所有物として固定された。
その、刹那。
「――あーあ。やっと終わった? ネネ、足が痺れて死ぬかと思ったじゃん!」
背後から、あまりにも緊張感のない、伸びやかな声が響いた。
「な……っ!? ネネ! お前、まだそこに……!」
ルイが弾かれたように飛び起きる。顔は茹で上がったタコのように真っ赤だ。
「そこに、も何も。マイロちゃんに壁際で『銀の彫像』にされかけてたんだよ? 酷くない? ゲストへの扱いがさぁ」
ネネはひょいと樽から降りると、リンゴの芯を放り投げ、ニヤニヤとルイを眺めた。
「おやおや、騎士様。情熱的な告白でしたね。みていたこっちがドキドキするよ〜な」
ベルツが耳をほじりながら、退屈そうに追撃する。
「ベ、ベルツ……っ! うわぁ…最悪だ…」
騎士としての誇り、そして先ほどまでの覚悟が、ガラガラと音を立てて崩れ去る。
「ルイ姉。……そんなに赤くなって、可愛いですね。……この小鼠、やっぱり今すぐ銀の文鎮にしておけばよかった」
マイロはルイの腕にさらに密着し、殺意に満ちた瞳でネネを睨みつけた。
天神みねむ!クリスタルがない人