テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
救急車のサイレンが静かな街に響く。
かなめは救急車の後ろ姿を見送ることしかできなかった。
「りょうた……。」
祈るように、その名前を呼ぶ。
⸻
病院。
りょうたは処置を受け、そのまま病室へ運ばれた。
医師はメンバーに静かに説明する。
「命に別状はありません。ただ、強いストレス反応と過呼吸によって意識を失った可能性があります。今は体を休ませることが何より大切です。」
その言葉に全員が少しだけ安堵した。
それでも、りょうたは目を閉じたままだった。
⸻
病室。
静かな機械音だけが響く。
かなめはベッドのそばまで歩くと、眠るりょうたを見つめた。
「……りょうた。」
返事はない。
「もう大丈夫だから。」
それでも反応はなかった。
かなめはその場にしゃがみ込み、力が抜けたように床へ手をつく。
「よかったって思ったのに……。」
その姿を見て、じゅんがそっと肩に手を置いた。
「かなめ。」
たかとも静かに言う。
「先生は大丈夫だって言ってた。」
「だから信じよう。」
かなめは目元をぬぐい、小さくうなずいた。
⸻
時間はゆっくりと過ぎていく。
こうさくは椅子に座りながら、
「次のライブは七人でやろう。」
と静かにつぶやく。
「もちろん。」
かずとが答える。
「りょうたがいないステージなんて考えられない。」
まさやも笑って言った。
「また七人で円陣を組もう。」
じゅんは眠るりょうたを見ながら、小さく笑う。
「そのときは、俺が一番大きい声出す。」
病室に少しだけ笑顔が戻った。
⸻
そのとき。
「……。」
ベッドの上で指先が小さく動いた。
かなめが真っ先に気づく。
「……りょうた?」
ゆっくりとまぶたが震え、少しずつ目が開く。
ぼんやりした視線が天井を見つめ、それからゆっくりとメンバーのほうへ向いた。
「……みんな。」
「りょうた!」
六人が一斉に立ち上がる。
かなめは思わずりょうたの手を握った。
「よかった……本当によかった。」
りょうたの目から涙があふれる。
「……ごめん。」
声が震える。
「また……迷惑かけちゃった……。」
涙は止まらない。
「ライブも……みんなに……。」
「ごめんなさい……。」
病室は静まり返る。
すると、一番最初に口を開いたのはじゅんだった。
「何言ってんだよ。」
少し怒ったような、それでいて優しい声だった。
「迷惑なんかじゃない。」
たかとも穏やかに続ける。
「助けを求めてくれてよかった。」
こうさくは静かにうなずく。
「一人で抱え込まれるほうが、ずっと心配だった。」
かずとは笑顔を見せる。
「俺たち、仲間だろ?」
まさやも大きくうなずいた。
「困ったときは頼っていいんだよ。」
最後に、かなめがゆっくりと口を開く。
「りょうた。」
「ライブが途中で止まったことなんて、誰も責めてない。」
「それよりも……。」
かなめは少し目を潤ませながら笑った。
「こうしてまた話せることのほうが、ずっと大事なんだ。」
りょうたは涙をぬぐいながら、小さく笑う。
「……ありがとう。」
かなめは握っていた手に少しだけ力を込めた。
「約束しただろ。」
「一人じゃないって。」
病室には、穏やかな空気が流れる。
コメント
3件
「迷惑じゃない」って言葉、本当に響きました。りょうたが謝る姿に胸がぎゅっとなったけど、メンバー全員が優しく受け止めてくれて、読んでるこっちまで温かい気持ちになりました。一人じゃないって約束が、ちゃんと生きてるんだなって思える回でした。
#原因は自分にある。
宇空#🎹,🐈⬛
34
#原因は自分にある。
バディ乃杜バディ子
26,254