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やたらと冷たい潮風が頬を撫でる.
汗はだらだらと流れ、襟を湿らすというのに
空気は冷たく澄んでいる。
8月とは思えない。
夏休みの初め 私は一人で祖母の家へと向かった。
祖母の家は電車も1日2本しか来ないようなド田舎。 不思議なほどに人がいない。
「 … はぁ、 」
電車からおりた先で祖母が待ってくれてるらしいのだが辺りを見渡してもそれらしい人影は見えない。
祖母も言っても私は会ったことがない
母は祖母が嫌いなのだ。それでも母に内緒にしてきた。
家も学校も嫌いで仕方がないからだ。
どうしても嫌で、父を頼ってここに来た。
まぁ父は極力私と関わりたくないようで、祖母の連絡先を教えるくらいしかしてくれなかったがそれだけでも十分だった。
一人で大荷物を持って祖母を待っていた。なのに話しかけてきたのは同い年くらいの若い男の人だった。
「 おい、 」
こういうのは無視しとくのが一番だろう
「 お前だよ 」
「 私ですか!? 」
無理やり笑顔を作って反応する。
結局私は、変われないんだなと思う。
また演技とか最低だな
「 ばぁちゃんの孫なんだろ、? 」
「 あぁ、!祖母と知り合いなんですか…! 」
「 まぁ、 」
「 ところで、、祖母は…? 」
「 今忙しいらしいから俺が来たんだよ. 」
「 そーなんですね!ありがとうございます! 」
「 ん、着いてこいよ 」
随分と無愛想な人だなと思った。
そんな態度でいられた環境が私にとっては羨ましい
「 えっと、お名前はなんですか! 」
「 大粋 」
「 いいお名前ですね!私はいなせです!よろしくお願いします! 」
自分の名前が嫌いだ。嫌という程思い知る。母は男の子が欲しかったんだろうなと。
「 嗚呼 」
私が話しかける度に歩く速度が上がっている気がする。体力はある方だから平気だがもう割と距離を歩いているように感じる、華奢な女の子だったら耐えられなかっただろう。
それにしても随分と暑いのになんだろうこの寒さは。背中が寒くて仕方がない。
まるで後ろに幽霊でもいるようだな
こんなこと気にしたって意味がないか
「 ここだ 」
随分と古い家だ
「 わざわざありがとうございます! 」
入るのが緊張する。こんな急に受け入れられるのだろうか。今まで会ったことがないんだ。
小さい子ならまだしももう高校生。
母と父は離婚している。
自分の息子と離婚した嫁について行った孫なんて、無下にしていい存在だ。
「 お邪魔します! 」
「 いなせちゃん!いらっしゃい!迎えに行けなくてごめんね… 」
「 いえ、全然大丈夫です!急に押しかけてしまってすみません!! 」
「 何にもないけどゆっくりしていってね! 」
…何にもない。本当に優しい人そうだ。
だから怖い。そういう人ほど何か裏の顔を持っているものだ普通は。
「 部屋がないから大粋と同じ部屋でもいい? 」
正直驚いた。まず、この少年はここに住んでいたということ、そして年頃の少年少女たちを同じ部屋にしようとすること、
「 大粋さんがいいならいいんですけど…! 」
「 俺は別になんでもいい 」
「 わわ、すみません!!本当ありがとうございます!!優しいですね 」