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「よし…終わり、っと……」
冬休みが終わり、千愛の学校も始まった。
私は今日、仕事が休みなので、二回目の洗濯で千愛の寝具を洗って干す。
これも、何年も当たり前に平日にやっていたことだけど、仕事に出ると朝は忙しいし、お天気は気になるし…で、日曜と休日にやる。
数日前の日曜日も、夫と私の敷布団カバーを洗った。
すると夜に…なんと、夫が布団にカバーを掛けるのを手伝ってくれたのだ。
無言で黙々と手伝ってくれた夫に
「ありがとう」
と、言うと
「俺はこういう仕事、見てなかったな…言ってくれたらいつでも手伝うから」
と返ってきた。
私はその言葉が、心地よかった。
あんな事があって、私にこびへつらうように
“ありがとう、ママはいつもすごく頑張ってるね”
なんて言われたら、今だけの言葉だと感じるけど、そうでない素の夫が発する言葉だったから心地よかった。
「うん。またお願いするね」
そんなことがあったと思いながら階段を降りる時
バンッ…バンッ…
車のドアが、二度閉まる音がする。
うちの前に停まったのかな…と玄関の小窓を覗くと、引っ越しマークの軽自動車が、中西さんの家の前にあるのが見えた。
もう隣人の異常は感じていた。
終業式のあと、一切亜優ちゃんの声を聞かなくなった。
直美さんの姿も見ないし、千愛が亜優ちゃんと遊ぼうと誘いに行ってもインターホンに応える人は誰もいない。
直美さんがよく乗っていた自転車も同じ角度で止められたまま。
最初は、早い帰省でクリスマスを実家で過ごすのかと思っていたけれど、三が日を過ぎても誰が出入りする気配もなかった。
そして、3学期の始業式前夜
“急ですが、亜優は転校することになりました。前日の連絡ですみませんが、取り急ぎお知らせいたします”
というショートメールが、直美さんから送られてきた。
「これって……ご両親の急病とか、なにか穏やかでない連絡よね。引っ越した形跡もなく、転校って……手荷物で転校したってことよ?」
「そうだな。普段の直美さんからは想像出来ない、挨拶さえない最短のメール。ショートメールの文字数を考えたって、本来ならもう少し書きそうだよな」