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神の傀儡

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神の傀儡

61 - 第61話 畏れよ

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2024年12月01日

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空が変わり、暗雲が立ち込める。タクトの前に、異様な気配が漂い始めた。風が吹き、海が狂う。冷気の中に、金属音が響いた。

タクトは砂を踏みしめ、すぐに音の正体に気づく。空を裂くように、天から降り立つ影――それは、間違いなくミカエルだ。

彼の背中には、天から降り注ぐような羽が広がっており、その手に持つのは光り輝く刀。ミカエルが降り立つその瞬間、周囲の風が一層強く吹き荒れ、雷鳴が轟く。

「タクト…」

ミカエルの声は冷徹で、無機質な響きを持っていた。彼の目は鋭く、タクトを捕えるように睨んでいる。その表情には、過去の激闘を超えてきた彼の覚悟と、何かしらの怒りが込められていた。

タクトは不敵な笑みを浮かべた。ミカエルが再び姿を現すことを、薄々予感していたのだ。今までの戦いで、彼との間に何度も激しい戦闘を繰り広げてきたが、この瞬間が最も決定的になるだろうと感じていた。

「来たか…ミカエル。」

タクトは軽く肩をすくめ、警戒しながらも動じない。彼はミカエルが刀を構えるのを見て、すぐに反応する準備を整えた。

ミカエルは静かに刀の柄を両手でしっかりと掴み、刃を天に向けて掲げる。彼の姿は、まるで戦場の天使のように、凛々しく、威厳に満ちていた。しかしその刃がタクトに向かって一閃する瞬間、空気が裂けるような音が鳴り響く。

ミカエルの速さは尋常ではない。タクトはその速度に一瞬反応が遅れ、目の前で刀が閃光を放ち、強烈な風圧が彼を襲った。刃が通り過ぎた後、タクトは無傷のまま立っていたが、瞬時に周囲の砂が吹き飛ばされ、海の水が一時的に高く跳ね上がった。

「……速い。」

タクトはその一撃をかわしたものの、ミカエルの力を再認識する。彼の目は冷徹で、攻撃が物理的な力だけではなく、精神的な圧力をもたらすものであることを感じていた。

ミカエルは冷静に立ち直り、刀を再び構え直す。彼の目には、迷いがない。ただ、戦うことだけを目的とした視線が宿っていた。

「タクト、お前の戦いには、もう意味がない。」

ミカエルの言葉は、どこか諭すような響きを持っていた。それでも、タクトはその言葉に反応することなく、目の前の相手をただ見つめ続ける。

「意味がない? それは勝手な解釈だろう。」

タクトは無表情のまま、その足を一歩前に踏み出した。瞬間、空気が震え、再び警告が鳴り響く。タクトの異能「警告」が、再びその周囲の空間を支配し始める。

「警告、発動。」

その言葉と共に、タクトはミカエルに向かって走り出した。速度は常識を超え、目に見える速度で空間を突き進む。ミカエルはその動きを察知し、すぐに反応するが、タクトはその間にあらゆる次元を利用した攻撃を繰り出していた。

ミカエルが刀を振ると、刃が空気を切り裂き、無数の風圧がタクトを襲う。しかし、タクトはそれを巧みに避け、さらに攻撃の手を緩めることなく迫る。彼の動きは、まるで風のように流れるようで、どこからでも攻撃が飛んでくるように感じられた。

「お前がどうしても戦いたいなら、俺も付き合ってやるよ。」

タクトは薄く笑いながら言った。彼の目には、もうその戦いが終わることを予感していた。しかし、それが何を意味するのかは、まだ誰にもわからなかった。

ミカエルはしばらくタクトを睨みつけた後、深く息を吐いた。

「なら、覚悟を決めろ。お前の戦いも、そろそろ終わりだ。」


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