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5. 遺書
次の日、机にノートを広げた。
手が震えて、文字が滲んで、何度も書き直した。
いれいすのみんなへ。
俺は、リーダー失格でした。
みんなを守るどころか、傷つけてばかりだった。
りうら。真っ直ぐで、歌声に救われた。羨ましかった。
いむ。誰よりも努力家で、俺にはできないことを当たり前にやってたね。
しょーちゃん。明るくて、笑顔を絶やさなくて。救われてたよ。
まろ。荒っぽいけど、根は優しい。俺はちゃんとわかってた。
あにき。頼れる存在で、何度も背中を押された。
本当は、俺はみんなが大好きだった。
どれだけ突き飛ばされても、冷たい言葉を浴びても、心のどこかで信じてた。
「また笑い合える」って。
でも、それは俺の幻想だったみたいだ。
リスナーのみんなへ。
支えてくれてありがとう。
俺を「リーダー」って呼んでくれてありがとう。
君たちの笑顔がなかったら、俺はもっと早く壊れてた。
ごめん。
俺はもう歌えない。
もう笑えない。
どうか、俺のことは忘れて、みんなで幸せでいてほしい。
最後まで優しいリーダーでいられなくて、ごめんな。
でも俺は、最後までみんなが大好きだった。
机の上に通帳を置いた。
俺が持っている唯一の「役に立つもの」。
それしか、残せるものがなかった。