学生の楓たちは、社会科見学の一環としてある忍者村を訪れることになった。
そこには、観光用に整備されたテーマパークのような場所だが、実は楓とむつる
ーー本物の忍者である2人が育った村でもある。
◾︎出発の朝
バスから降り立った生徒たちが「わぁ〜」と歓声を上げる。
そこはかつて楓とむつるが修行していた本物の忍者村ーー今は観光地として開放されている。
むつるはいつも以上に無口。楓はというと、懐かしさと緊張の入り混じった顔で周囲を見回す。
楓(小声):「……ここ、やっぱり変わってないな」
むつる(小声):「油断するな。今も何人か本物が混じってる」
ほのか(後ろからひょいと):「ねぇ、どうしたの?初めて来た顔じゃなさそうだけど……」
楓は慌てて笑ってごまかし、むつるは顔をそらす。
手裏剣体験コーナー
村の広場では、手裏剣や吹き矢の体験会が開かれていた。
先生:「じゃあ代表して……楓さんとむつるくん、やってみて」
戸惑う2人だったが、断れず参加。
見よう見まねに見せかけてーー的の中心を一発で射抜く!
クラスメイト:「え?うますぎない?」「コツとかあるの!?」
楓は焦りながらも「たまたまだよ〜」と愛想笑い。
むつるは無言で、スっと離れていく(それもまたかっこよく見える始末……)
紫藤先生が2人の耳元で「ちょっと抑え気味でね」とささやく。
隣のほのかは苦笑いしながら「またうっかり本気出しそうになってる……」とつぶやく。
忍者衣装体験→舞台ショーに参加?
次の体験は「忍者衣装で記念撮影」。
黒や紺、赤色の衣装が並べられ、全員がそれを羽織って記念写真を撮ることになる。
楓は赤みがかった衣装を選び、むつるは黒に光模様が入ったシンプルなものを選ぶ。
衣装にそでを通した瞬間、周囲が静かになる。
「…似合いすぎじゃない?」
「なんか、本人たちが忍者って言っても信じちゃいそう…」
皆が笑いながらも、どこか違和感のような「本物っぽさ」を感じている様子。
紫藤先生は汗をぬぐいながら「さすが衣装のクオリティですね!」とフォロー。
【忍者ショーの大事件】
その後、村のスタッフたちによる「忍者ショー」のミニ舞台が始まる。
「お客さんの中から、挑戦者を募集しま〜す!」
なんと、くじ引きで楓とむつるが選ばれてしまう。
舞台に立った2人は、「模擬戦」をすることに。
ーー演技のはずが、体は勝手に動いてしまう。
「ちょっと……普通に強くない!?」
「何その動き、プロのアクション俳優かよ…!」
むつるがふと、手を動かした瞬間。術の流れが走ってしまう。
彼は焦って手を止めようとするが、抑えきれず小規模な光の爆発が「バチィッ」
と発生。
観客からの驚きの声が上がるがーー
「わぁ〜!すっごい特殊演出ですねぇ!!」
紫藤先生が大声で拍手を送ると、スタッフも観客も「演出」と信じて拍手喝采。
むつるは顔をそらして耳まで赤くなり、楓はこっそり背中をつついて「何してんのよ……」
とささやく。
エンディング:ほのか視線
見学が終わり、帰りのバスで寝息を立てている楓とむつる。
その隣で、ほのかは静かに窓の外を見ながらつぶやく。
「やっぱり、ただの人間じゃないよね、2人とも」
けれど、それを追及することはしなかった。
ほのかにとって大切なのは、「隠しごとがあること」よりも「隠してでも守ってくれてくれてる」
ことだったから。
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