テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「レス、って話すくらい、親しい関係の女性なんだってね」
ここで夫は、息を止めて私の顔を凝視した。
私も夫から目をそらすことなく、どれだけの時間が過ぎたか…
「ごめん……申し訳ない。浮気した…相手…ずっと続いてたわけでもなくて、少し前に会わないって。たぶん、ママが俺のスマホとかで気づいてた頃あるよな…」
「コソコソは気づいてたけど」
「あの時はもう断ってた…断ったあとに連絡が増えたから……ごめん」
スマホを見ろとでも言うのだろうか…
夫はテーブルの上にスマホを置いて、私の方に差し出した。
「断ったって……どういうこと?初めから聞かせてもらえる?髪の匂いが変だった日は、完全に嘘ついたでしょ?あんなのバレバレだし、匂いだけでなく慌てて着替えてきた形跡もあって、私はいつだって千愛と出て行けるくらいの証拠をいくつも持ってるけどっ?ううん、私も千愛も悪くないんだから、この場合あなたが出て行くのよね」
最初から聞くつもりが、段々と腹が立ってきて、冷静ではいられなかった。
「ママ、ごめん。ごめんな。ちょっと声抑えて」
ガタッ…と椅子から立った夫が、向かいに座る私の横へ来て膝で立つようにして私の腕を掴んだ。
「放して」
「ごめん…」
夫の話は佐野キミから聞いたこととほとんど同じだった。
興味本位で既婚者合コンに行ったところ、その時間外に会いたいと誘われたこと。
そういう人のいることを見聞きしたあとで、軽い気持ちで誘いに乗ったこと。
三度目があの匂いの日。
その日、夫を既婚者だと信じていない佐野キミの様子を察して、面倒なことになりそうだからもう会わない方がいいと決めた。
「別に全然、好きだとかはなかったから…」
出来心の遊びだと言いたげね。
「慌てて着替えた形跡って……気づいてなかったけど、あの時は本当に慌ててた…たぶんそのせいだ」
どんなせいだろうが関係ない。
改めて夫の口から他の女とヤッてました、と聞くと腹立たしくって、悔しくて仕方がない。