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いつものように食物を口に含み咀嚼をした。私はこの時間が苦痛で仕方なかった。私は生まれてから
「空腹」
を感じたことがなかった。
まだ小さかった頃家に帰ってきたら祖母が「あまねちゃん、お腹空いてるじゃろ」
と毎日のように言い私はそれを断れなかった。断ってしまったら相手のことを裏切ってしまうような感覚に陥るからだ。いくつかお菓子を口にして時間が過ぎるのを待った。
祖母が亡くなってから家庭環境は悪化し始めた。当初の私は何故悪化したのか理由など理解できなかったが今になってわかった。母が祖母の財産目当てで結婚したことが明白になったからだ。毎日の暴力、夫婦喧嘩、どうやって耐えていたのか覚えていない…
高校生になって、両親は離婚し、母との2人暮らしになった。経済的に不自由になり食べるものが何もない日もあったが私にとっては今の環境の方が居心地が良かった。それでも、母は暴力を振るう。毎日…毎日…きっと、母は私しかいないのだろう…愛しているから暴力を振るうのだろう。
「お疲れ様です」
バイトはラストまで残らないと家賃も払えない。苦痛が1つ消えたと思ったら1つ増えた。母も精神的に参っている。バイトをしても、「あの人たちは私をバカにしている」
「私はいじめられている」
の一点張りでひと月も続いたことはなかった。
今日は目眩が酷かった。早く家に帰り寝なくては…その前に掃除…
「あ、やっと目が覚めた。」
私の眼には少年のような、どこか大人びているような青年が映った。