コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
えとは自分の部屋の隅で膝を抱えていた。
昼の会議こせいでみんなの視線が冷たくて、みんなが自分を避けてる気がした。
(私…怪しいよね…やっぱり…ね)
でも、えとは気づていた。
鏡に映る自分の目が、夜になると赤く光ること。手の甲に灰色の毛が生えてきていること。
(私…狼なのかな…。それだったら…みんなを…)
自分が怖い。みんなが怖い…。怖い…怖い…
その夜、館の鐘が12時を告げる。
部屋の照明が一気に消える。
「夜が来た…。」
誰かの声が、遠くから聞こえた。
えとは、体が勝手に動くのを感じた。
(やめて…動かないで…!)
えとは確信していた。そろそろ「限界」が来ていることを。
でも体は止まらない。
ドアに手をかけた瞬間ーー
「…えと?」
背後から声がした。
振り返ると、そこにはじゃぱぱが立っていた。
「なんでこんな時間に…?」
(見られた…もう…抑えられ…な…い…?)
その体はもうえとではなかった。
「…えと…。何をしてた…の?」
「…!え…と…?だよ…な?」
えとは声が出なかった。その瞬間、金縛りになったように体が動かなくなった。
「なんで、のあの部屋の前に立ってたの?」
「…ちょっと…話したかった…だ…け…!」
声を絞り出す。
「こんな時間に?怪しいすぎるだろ…てか…その姿さ…」
えとは答えられなかった。
自分でも分からなかった。なんでこんな行動をしたのか。なんでこうなってしまったのか。
まるで、自分の中に「何か」がいるみたいで嫌だった。でも…えとはそれを振り払うことはできなかった。
…そのまま朝がまた来る。
会議が始まる。
えとの「嫌いな時間」が。
本当の自分を出せない時間が。