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藤澤 side …
元貴とデパートをしてから3日後。今日は久々のレックが行われる日だった。僕たちはこの3日間はオフの日だった。珍しく元貴が「オフの日作んない?」と提案し、3日間のオフが出来たのだった。だが、正直僕的には毎日元貴に会いたかったし、オフはあまり要らなかった。 だから今日、久々に元貴に会える。この事実が物凄く嬉しくて、僕はいつもの15分以上早くスタジオに着いていた。
「…まだかなー」
小さく楽屋の中で呟いた声は、頭の中で何度もリピートされた。
「おはよー」
「ぁ、おはよー!!」
10分くらい経った頃だった。楽屋の扉がガチャリと音を立て、珍しくニットを着た元貴が入ってきた。
「あれ?涼ちゃん今日早いね」
そうかな?と僕は首を傾げる。早いに決まってる。だって普段の15分以上早くスタジオに着いていたんだもの。
元貴が扉を閉めようとしたその時。バンッ!と扉が誰かの手によって押さえつけられる。
「はぁはぁ…元貴、早いって…」
その手は若井のものだった。若井は肩で息をしていて、片方の手にはコンビニの袋が握られていた。
「あ、若井、!おはよー!」
若井に笑顔で挨拶する。本当はもう少し元貴と2人だけで良かったのにな、と内心愚痴らしきものを零す。
「だって若井が会計でもたつくんだもん」
元貴は意地悪っぽく笑いながら若井の手にかかった袋を受け取る。
「…なんかあったの、?」
興味本位で2人に問いかける。
どうやら2人はコンビニで「ジャンケンで負けた方がココアを奢る」という遊びをしていたらしい。結果的には若井が負け、若井がココアを3缶買うことになった。若井が会計をする時、何故かスマホ決済が上手くいかなかったようで、それを見かねた元貴は1人でスタジオまで来たようだった。
「仕方ないじゃんか〜なんかバグったんだし」
「スマホがダメなら現金にすれば良かったじゃん」
元貴が笑いながら言うと若井は、財布出すのめんどくさいじゃんかー、と唇を尖らせた 。
2人が楽しそうに話す中、僕は上手く話について行く事が出来なかった。なぜならこの話を聞く限り、”2人で一緒にスタジオまで来た”ということになるからだ。自分だけ誘われていないという気持ちとはまた違う、嫉妬のようなもの。自分でもよく分からないこの感情が渦を巻く。元貴が僕以外の誰かと2人きりになることがあるのだと思うと、胸の奥がドクンドクンと嫌な音を立てた。
「はい涼ちゃん、ココア」
元貴が僕に暖かい缶ココアを差し出す。若井が、元貴が買った訳じゃないからね!?と首を突っ込む。僕は、ありがと、と微笑みながらそれを受け取る。今僕、ちゃんと笑えていたかな?
元貴と若井から貰った缶ココアは、とても甘くて今にもとろけてしまいそうなくらいに美味しいものだったが、どこか深い苦味を感じることもあった。
ちょいと早めの更新!
前回あっという間に♡1,000になって、
めちゃくちゃ驚いておりました…笑
皆さんありがとうございます🥲🌟
今回はちょっとだけ平和?なお話でしたね…
作者も少しだけ違和感が残った回でした(?)
次回も楽しみにしていてください!!
それではまた次のお話で^^
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