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誰も知らない、高嶺の花の裏側2
第46話 〚気づいてしまった真実〛(りあ視点)
放課後の教室は、静かすぎた。
笑い声も、雑音もない。
ただ、窓の外の風の音だけが、やけに大きく聞こえる。
りあは、一人で座っていた。
——全部、思い出していた。
恒一の言葉。
優しそうな声。
「澪が悪い」
「君は何も間違ってない」
その一つ一つが、
今になって、違う意味で胸に刺さる。
(……あれ、私のためじゃなかった)
気づいてしまった瞬間、
頭の中が、真っ白になった。
恒一は、いつも澪の話しかしなかった。
自分のことより、
澪をどう遠ざけるか。
澪をどう孤立させるか。
——私を使って。
「……私、利用されてたんだ」
声に出した瞬間、
喉がひりついた。
でも、それだけじゃない。
りあは、拳を握る。
(私も……ひどいこと、言った)
三軍だとか。
調子に乗ってるとか。
笑いながら、平気で。
誰かに守られていた澪を、
羨ましくて、妬ましくて。
「……私が、悪かった」
初めて、逃げずに認めた。
恒一に誘導されたからじゃない。
嫉妬したのも、傷つけたのも、
全部——自分の選択だった。
思い出すのは、
今日、差し出された手。
責めもせず、見下しもせず、
ただ、そばに立っていた澪の姿。
胸が、苦しくなる。
「……最低だ、私」
涙が、ぽたっと机に落ちた。
もう、誰かの後ろに隠れることはできない。
利用された被害者ぶる資格もない。
それでも。
(……それでも、逃げたくない)
りあは、ゆっくりと顔を上げた。
自分が壊したものは、
簡単には戻らない。
でも、
自分がしたことから、目を逸らさないことだけはできる。
——恒一の言葉は、もう信じない。
初めて、
自分の足で立つ決意が、
胸の奥で、静かに生まれていた。