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第47話 〚届いた言葉〛(りあ視点)
放課後の廊下は、人が少なかった。
りあは、何度も足を止めては、深呼吸を繰り返す。
(……逃げないって、決めたのに)
胸が苦しい。
でも、後戻りはしない。
図書室の前。
扉の向こうに、澪がいるのは分かっていた。
りあは、意を決して声をかける。
「……白雪、澪」
澪が振り向く。
驚いたような目。
その視線を見た瞬間、
りあの胸に溜め込んでいたものが、一気に溢れた。
「ごめんなさい……!」
深く頭を下げた瞬間、
涙が、ぽろぽろ落ちる。
「私、ずっと……ひどいこと言ってた」
「三軍とか、調子乗ってるとか……」
「嫉妬して、見下して、傷つけて……」
声が震える。
途中で言葉が詰まって、呼吸が乱れる。
「利用されてたとか、そんなの関係ない……!」
りあは、顔を上げた。
涙でぐしゃぐしゃになったまま、澪を見る。
「全部、私がやったこと」
「私が、悪かった……!」
しん、と空気が静まる。
澪は、すぐに何も言わなかった。
少し困ったように、でも真剣に、りあを見つめている。
その沈黙が、怖かった。
拒絶されても、仕方ない。
でも——
「……顔、上げて」
静かな声。
りあは、ゆっくり顔を上げた。
澪の表情は、怒っても、見下してもいなかった。
ただ、少しだけ悲しそうで、優しい。
「謝ってくれて、ありがとう」
その一言で、
りあの涙が、止まらなくなった。
「許すかどうかは……すぐには決められない」
澪は正直に言った。
「でも、ちゃんと向き合おうとしてくれたことは、分かる」
りあは、何度も何度も頷く。
「……それで、いい」
「それでいいから……」
逃げなかった。
ごまかさなかった。
その事実だけが、
りあの胸に、少しだけ光を灯していた。
廊下の窓から、夕方の光が差し込む。
壊したものは、戻らないかもしれない。
それでも。
この謝罪は、
確かに——本物だった。