テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
今回いつもの2倍ぐらい話が長いです(_ _)
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小テスト終了の合図が鳴る。
先生「はい、シャーペン置けー」
先生の声で、教室が一気にざわついた。
紙を裏返す音、ため息、笑い声。
❄「終わった!無理!赤点確定!」
❄が大げさに机に突っ伏す。
🍪「🍫さん、どうだった?」
🍪さんが心配そうに覗き込んでくる。
🍫「……うん、たぶんダメだと思う」
それは嘘じゃない。
でも理由は、数学だけじゃなかった。
🍫(見られてる…)
はっきりとした視線。
誰かが、私を観察している気がしてならない。
振り向きたい。
でも、振り向いた瞬間に何かが壊れる気がして、できなかった。
⚡️「🍫さん」
名前を呼ばれて、びくっと肩が跳ねる。
⚡️「大丈夫?」
⚡️だった。
こういうときの勘は鋭い…。
⚡️「顔色悪くね?保健室行った方がええんちゃう?」
🍫「……ありがと。でも平気」
その「平気」がどこまで通じているのか、自分でも分からなかった。
廊下に出ると、人の流れが一気に増える。
この中に、ノワールがいる。
__生徒として、教師として、
あるいは、私のすぐ隣で笑っている、誰かとして。
🦖「🍗くん購買行こ!」
🦖が手を振る。
🦖「なんか新しいチキン出てるらしいよー」
🍗「えっまじ??」
その背中を見送りながら、私は壁にもたれた。
無線機は、静かなまま。
🍫(ノワールは、まだ動かない)
クラウンの言葉が頭をよぎる。
『スパイとして潜入している可能性が高い』
つまり__
情報を集めている。
誰を?
何を?
🍫(…私? それとも__)
視線を感じて、思わず廊下の先を見る。
窓際。
誰かが、こちらを見ていた。
でも、目が合う直前に、
その人物は何事もなかったかのように視線を逸らす。
🍫(今の……)
心臓が、どくんと跳ねる。
顔は、見えなかった。
制服も普通。
クラスメイトか、別クラスか、それとも教師か。
__判断できない。
🍫(落ち着け)
今は昼。
私は普通の高校生。
🍫(でも……)
もし、放課後。
もし誰かが、危険に晒されるなら…
私は、迷わない。
フードを被り、銃と短剣を手に取る。
その時は__
ノワール。
あなたが誰であっても。
🍪「🍫さん、今日、一緒にカラオケ行かない?❄さんと、私と🍫さんで!」
カラオケ___??
そんな個室に、私を閉じ込めるの___?
そんな考えを一瞬でも持ってしまった自分を、ぶん殴りたくなった。
そもそもノワールは男なのだ。
🍪さんや❄は、絶対に違う。
そんな当たり前のことに気がついた途端、私は肩の力が抜けていくようだった。
🍫「う、うん…行こ、カラオケ!」
私は、顔をあげて答えた。
🍪さんと❄は、パァッと嬉しそうな表情を見せる。
❄「やったあー!3人揃うのが1番楽しいもんねー」
❄は元気に言う。
私はようやく緊張が解け、前みたいに心から「今を楽しもう」と思えた。
フードと銃、短剣は鞄の奥底にしまって、私は2人と歩き出した。
❄「最初何歌う〜?」
❄が聞いた。
🍪「私からいい?」
🍪さんは言った。
🍫「いいよ」
❄「じゃあ、🍫ちゃん次の曲選んでおいてね」
🍫「おっけー」
私は、昔から大好きだった曲を選択し、❄に回す。
🍪さんの甘い歌声は、聞き惚れるほどだった。
私の番。
なぜか、殺しの仕事をしている時よりも、胸が熱くなる。
❄も、音一つ一つが正確で、すごく綺麗だった。
私たちは、数時間カラオケで歌ってから、カラオケ店を後にした。
本当に楽しかったと、心から思えた。
帰る頃にはもう、とっくに日が暮れて夜になっていた。
カラオケ店を出ると、夜の空気が一気に肌にまとわりついた。
ネオンは綺麗で、でもどこか冷たい。
🍪「今日はありがとう2人ともー」
🍪さんが笑顔で手を振る。
❄「また行こ!次は絶対オールで!」
🍫「それは私の体力が持たないかも」
そう言って笑うと、二人も笑った。
それぞれの帰り道で別れる。
二人の背中が見えなくなるまで、私はその場に立ち尽くした。
___守れた。
少なくとも、今日は。
すると、小型無線機が小刻みに震えた。
まさか。
🍫「はい、」
クラ『良かった、応答したわね』
クラウン幹部の声。
クラ『私たちの仮拠点の倉庫が、爆破された』
私は、絶句した。
クラウン幹部は、淡々と言う。
クラ『現地へ向かって、戦闘体制に入ってほしい。何があるか、わからないから』
🍫「怪我人は…!?」
クラ『ノワールの捜査に協力してくれていた人材が2人、爆発で即死よ』
🍫「そんな…」
クラ『これがノワールの仕業かどうかは分からない。でも、居場所が確実に漏れた。まだ、仮拠点で良かったけれど』
🍫「すぐ向かいます!」
私は髪を一つに束ねて、フードを深くかぶった。カバンの中から、ピストルと短剣を取り出す。
これで私は、夜の顔___サントラーとしての顔になる。
クラ『あまり無理はしないで』
クラ『今は周りに敵がいるかどうかの確認だけでいい』
サン「分かってます、」
クラ『健闘を祈るわ』
倉庫まではおよそ15分。
夜風が肌を刺し、さっきまでのカラオケの余韻を容赦なく剥ぎ取っていく。
サン(🍪さん、❄……)
振り返らない。
今は、振り返ったら駄目だ。
現地に近づくにつれ、焦げた匂いが鼻をついた。
遠目にも分かる。倉庫の一角が、黒く抉れている。
バイクを物陰に停め、足音を殺して近づく。
瓦礫、歪んだ鉄骨、焼け焦げた地面。
倉庫の隙間から、中が見えた。
2人、地面に倒れている。
とっくに2人とも焼け焦げていて、片方の手の中には壊れた無線機が握られていた。
サン「……ひどい」
サン「現地到着。爆心地、確認しました」
クラ『慎重に。まだ誰か残っている可能性がある』
短剣を逆手に持ち、倉庫内へ足を踏み入れる。
天井の一部が崩れ、月明かりが差し込んでいた。
その時。
サン(……来た)
反射的に物陰へ身を隠す。
足音。一人。いや、二人。
モブ「……へっ、派手にやったな」
聞き覚えのない男の声だった。
モブ「ノワールの指示通りだろ。ここは捨て場所だ」
……ノワール。
心臓が、強く打った。
サン(やっぱり、関係してる)
男たちは瓦礫を確認しながら、奥へ進んでくる。
下っ端だ。動きが甘い。
サン(今だ)
一瞬で距離を詰め、背後から一人の首元に短剣を当てる。
モブ「っ…!?」
サン「静かに」
声を殺し、そのまま__
倒れる音も立てさせない。
残り一人が振り向いた瞬間、ピストルを向ける。
サン「動かないで」
男は、震えながら手を上げた。
モブ「ノ、ノワールの命令だ! 俺たちはただ__」
サン「ノワールは今どこ?」
モブ「し、知らねぇ! 俺たちは連絡役で……!」
嘘じゃない。
目を見れば分かる。
サン(…ちっ)
気絶させ、地面に転がす。
サン「クラウン、敵の下っ端二名、制圧。ノワール本人はいません」
クラ『やはり直接は来ていないわね……』
クラ『サントラー、無理に追わないで』
無線越しのクラウンの声は冷静だった。
クラ『ここは罠の可能性もある。姿を見せずにこちらを削りに来てることも考えられるわ』
サン「……分かってます」
倒れている下っ端を一瞥する。
生きている。
でも、震えが止まらない様子だった。
サン「…ノワール」
名前を呟くだけで、胸の奥がざわつく。
今日の昼、同じ学校のどこかにいた男。
それが、今夜は私の仲間を二人殺した。
サン(偶然なわけないじゃん)
私は瓦礫の中を慎重に進む。
爆心地付近。
焼け焦げた床の上に、何かが落ちていた。
サン「……?」
しゃがみ込み、拾い上げる。
小さな黒い金属片だった。
無線機の部品でも、弾丸でもない。
表面に、細い刻印。
サン「これ……」
クラ『何か見つけた?』
さん「はい。爆心地付近に、見覚えのない部品が」
一瞬、無線が静かになる。
クラ『……それ、爆薬の起爆補助装置の一部ね』
クラウンの声が、わずかに硬くなった。
クラ『ノワール本人のやり方じゃない』
サン「……?」
クラ『言ったでしょ。あいつはもっと、静かに殺すって』
背筋が、ぞくりとした。
サン「じゃあ……」
クラ『ノワールの幹部___グラウの可能性がある』
名前を聞いた瞬間、空気が一段と重くなる。
ノワールの実力を更に上回ると噂されている化け物。
殺し屋になってから2年経らずで幹部まで上り詰めたとか。
正面衝突は避けろと、何度も言われてきた存在だった。
サン「…でも、さっきのあいつはノワールの指示だって」
クラ『嘘じゃないわ』
クラウンは言い切る。
クラ『ノワールは今、何らかの事情で直接ここに来られないのかもしれないわね』
クラ『だから、幹部を動かした』
サン(つまり……)
ノワールは、自分では手を下さずに、裏で仲間を殺した。
今ここで倒れてる素人たちにやらせるのは、この人達にとって自殺行為と同じだ。
私が来ることも勿論想定内だったはずなのに。
ノワールは自分の仲間ですら、捨て駒としか見ていない。
あいつ、一体人の命を何だと思ってるの?
サン(…私が、言えたことじゃないか)
私だって、人を殺してきたのだ。
私は、いい人なんかじゃないから。
サン「……だとしても、許せない」
声が、低くなる。
クラ『サントラー、ここは撤退した方がいいわ』
クラ『長居するのは危険よ』
サン「…了解」
私はその場から離れることにした。
明日も、きっと学校にノワールはいる。
これからは、今までの学校生活にはもう戻れないだろう。
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