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そこでルーファスが慌てて止めに入る。


「お待ちください、それでは逆効果になるのではないでしょうか。そんなことをして、貴女が今後誰とも会わせてもらえなくなったらどうするのですか? 相手は王太子殿下であらせられるのですよ? 強引な手にでられたら、もう二度とここにいるみなさんと会えなくなってしまう、ということもありえるかもしれません」


アルメリアはにっこり微笑み返す。


「大丈夫ですわ。殿下はとても聡明な方ですから、そこまで強引な手段は最後までなさらないと思いますの。それに私を相談役に任命したのは、騎士団と王太子殿下ですもの。任命したにも関わらず、その任を妨害するようなことは流石にできませんでしょう?」


「そうかもしれませんが……」


ルーファスはそれでも納得していないようで、なにやら色々考えているようだった。アルメリアはそんなルーファスを納得させるため、更に話を続ける。


「ですので私、相談役というその立場を最大限利用しようと思いますの。相談役なのですから、色々な方と親交が深くてもおかしくはありませんでしょう? そうしてみなさんと親交を深めていれば、いつかあらぬ噂も立つかもしれません。そうなったとき、殿下がどう思っていたとしても、国王陛下や周囲の貴族ですら私と殿下の婚約に反対なさるかもしれませんわ」


そのとき、今の今までずっと黙って話を聞いていたリカオンが口を挟んだ。


「お嬢様、一つお聞きしたいことがあります」


全員がリカオンの方を向いた。彼は王太子殿下の間者である。何を言い出だすのか想像もつかなかった。アルメリアは頷き黙って質問を待った。


「お嬢様は、お嬢様自身はそれでよろしいのですか? 先ほどから聞いておりましたが、もしかしてお嬢様は婚約者にはなりたくないのですか?」


すると、今度は全員がアルメリアに注目した。アルメリアは苦笑しながら答える。


「実は私、王太子殿下の婚約者という立場に全く興味がありませんの。もちろんそんな私では相応しくありませんし」


「それはどうかな」


リアムが口を挟んだ。


「こんなことを私の口から言うのはなんですが、私はアルメリアほど、妃に相応しい令嬢は他にはいないと思います。実際にそうなれば良いとは思いませんが」


それに次いで、スパルタカスも口を開いた。


「私も閣下以外は考えられません。正直、閣下に忠誠を誓えるならそれでも良いかと思っております」


アルメリアは驚きながら答える。


「過大評価ですわ。 私の一番の問題は、妃になりたいという強い意思も、妃になるという強い覚悟もないことですから」


それを聞いて、みな押し黙った。アルメリアはかまわず話を続ける。


「もし私が殿下に相応しくないとわかれば、殿下も興味をなくすと思いますの。ですが、そうなる前に婚約が決まってしまっては、話が拗れてしまう可能性がありますでしょう? ですからできれば婚約は回避したいというのが本音ですわ」


アルメリアからそう聞いて、みんななんとも言えない顔をしたが、リカオンだけは表情を変えずに頷くと口を開いた。


「わかりました。そういうことならばお嬢様のためではなく、殿下のために僕も協力いたします」


それを聞いてリアムは嫌そうな顔をしていたが、スパルタカスは不思議そうな顔をしてリカオンに訊いた。


「協力とは? 一体どういうことなんですか?」


「たぶんご存じの通り、僕は殿下にお嬢様のことを全て報告するよう仰せつかっております。ですからそれを利用して、情報操作をすればよろしいのではないでしょうか」


リアムが鼻で笑う。


「殿下相手に、そのような姑息な手段が通用するとは思えないが?」


リカオンは無表情で答える。


「ですから、その裏をかけばよろしいのではないでしょうか。殿下は大変聡明な方ですから、僕からの報告も裏付けなく簡単に信じたりはしません。ですが、唯一ここでの会話はそう簡単に裏付けがとれません、そこを逆手に取るのです。ここでの会話の報告をするときに、知られても差し支えないものをあえて隠したり情報の一部のみを報告したりと、なにかありそうな情報に見せかければ、少なくとも知られたくないことからは殿下の目をそらせることが可能でしょう」


それにアルメリアが答える。


「わかりましたわ、要するに情報操作をして誤誘導するということですのね?」


「えぇ、そうです。お嬢様は飲み込みが早くて助かります。これをどう使うか、いつ使うかはお嬢様次第ですが」


そう言ったあと、大きく息を吐きアルメリアをじっと見据えて言った。


「それとお嬢様、殿下を甘く見過ぎです。僕を利用して、わざとここでの会話を殿下の耳に入れ遠ざけようとしているようですが、殿下はこんなことでお嬢様を遠ざけたりも諦めたりもしません。なんなら逆効果です。話し合われた内容が殿下の耳に入れば、これを逆手に取ってうまく立ち回わり、挙げ句お嬢様を手中に収めるべく完全包囲なさるでしょう」


そう言ったあと、ボソリと呟く。


「そういうことには本当に疎くてらっしゃる」


「なんですの? 最後が聞こえませんでしたわ」


「なんでもありません」


アルメリアは内心苦笑した。リカオンを利用しようとしていたことが、見透かされていたからだ。あまりにも態度があからさまだったかもしれない。


「気づいていましたのね? 利用しようとしたりしてごめんなさい。こんな方法しか思いつかなくて。でも今後は、リカオンが協力してくれるというならとても助かりますわ」


そう言うとリカオンはアルメリアから目を反らした。


「お嬢様のために協力するのではありません。あくまでも殿下のために協力するのです」


そんなリカオンを見つめ、アルメリアは微笑むと優しく言った。


「それでもとても助かりますわ」


そして、少し考え口を開く。


「それと、今の話を聞いていて思いついたことがありますの。殿下にわざと知らせたい情報を流すことも可能ですわよね?」


リカオンは視線をアルメリアに戻すと口を開いた。


「その思いつきは確かに可能だと思います。殿下がそんなに簡単に騙されてくれるかはわかりませんが」


首を振りながらアルメリアは答える。


「騙したいわけではありませんの、そこへ意識を集中してもらえるように誘導したいんですの」


その話を聞いてリカオンは訝しんだ。


「お嬢様、具体的にそこまで仰るということは、何か考えがあるのですか?」


その場にいる全員がアルメリアに集中する中、アルメリアは口を開く。


「ダチュラ」


すると、その場にいたほぼ全員が不思議そうな顔をした。そして、リカオンはアルメリアに質問した。


「はい? なんです? なにかの名前ですか?」


アルメリアはほとんど全員がダチュラを知らないことを不思議に思った。なぜならダチュラは彼らと接触しているだろうと思っていたし、接触していなくとも彼女のあの生い立ちはかなり特殊だ。社交界では目立つ存在であり、知っていてもおかしくはなかったからだ。そんな妙な違和感を覚えながらも、アルメリアは質問に答える。


「えぇ、とある令嬢の名前です。ですが殿下にはこの一言で十分だと思いますわ。ことがうまく運べば、婚約の話がなかったことになるかもしれませんわ」


そう言って、にっこりと笑った。その場にいた者の中で、ルーファスだけは誰のことを言っているのかわかったようで、ダチュラの話をしている間、俯きアルメリアと視線を合わせようとしなかった。


「アルメリア、そのダチュラという令嬢はどういった方なのですか?」


リアムが真っ先にアルメリアに質問した。その質問を受けてアルメリアは思わず苦笑した。


「実は私もよく知りませんの。彼女は教会派の人間ですし、調べようにも手も足も出ませんから。なんならルフスの方がよくご存知じゃないかしら?」


悪役令嬢は救国したいだけなのに、いつの間にか攻略対象と皇帝に溺愛されてました

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