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彼に手を引かれて辿り着いたのは 路地裏の不気味なコンクリートの家ではなく、 ボロボロだけど暖かい木造の家だった
柔らかい暖色のライトが部屋を照らし、 赤 , 水 , 桃 , 青 , 黒の 5色の花が質素な部屋を彩っていた
「みんなただいま〜ッ!」
僕の手を引いていた桃色の髪の彼が声を発す
そうすると主人の帰りを喜ぶ犬のように部屋から次々と人が出てきた
「ないちゃんおかえり〜!」
「ないこた〜んっお酒買ってきてくれた?」
「ないこおかえり。飯作るから待っとき!」
「あ〜ッ,ないくんまた誘拐!?」
急な言葉の情報量と疲労、更には緊張が重なり、目眩がする
「初兎…?」
そう尋ねてくる彼の声と心配そうに此方に駆け寄ってくるさっきの人達
それを最後に僕の目の前は真っ暗になった
「…ぅ……」
遠くの方で音が聞こえる
「…ょ…ぅ……ちゃ…」
叫んでる…?大きな声で誰かを呼んでる
「…ょう……ちゃん… 」
ょう…しょう…僕……?
「しょうちゃん!!!」
「っ!?」
「ぅわぁあ!?」
名前を呼ばれていると気付いて勢い良く起き上がれば、大きな声を上げて驚くりうちゃんの姿があった
「ちょっと!全然起きないから起こしたのになんで急に起き上がるのさ!!」
「びっくりしたじゃんか馬鹿!!」
と何故か怒られ、布団の上で正座をさせられ… 「ごめん……」 と何故か謝った
「…初兎ちゃんが起きないの珍しいから、心配したんだよ」
「まあ、損したけどね!!」
頬を膨らませて拗ねるりうちゃん
「ごめんなりうちゃん、ありがとう」
そう言って、りうちゃんの綺麗な赤髪を撫でると、何も言い返せないと言うように顔を真っ赤にして睨まれた
「…アニキがご飯作って待ってるから!」
大声でそう告げられた後に、部屋から立ち去って行ってしまった
かわええなぁ…ほんと
りうちゃんの背中を見送った後、僕も続けて居間に降りる
そこには年季の入ったテーブルの上に並べられた、悠くんの作ったご飯が置いてあった
「初兎ちゃん遅い!僕お腹すいたじゃん!」
なんて拗ねるいむくんの横に「ごめん」と笑いながら腰を下ろす
「ほら、はよ食べよ、いただきま〜す」
そう、ないちゃんが言えばみんな揃って手を合わせ、食事を始める
「んまぃ…アニキ天才…」
「まろちゃんは何でもんまって言うやろ〜」
そんな風に他愛ない会話を重ねて、皆が小さく笑みを零す
…嗚呼…今日も平和な1日になりそうだ