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少し伸びた自分の前髪を指でつまみそろそろ髪を切らないと、なんて思う。
オフの日でも見たい映画や行きたい店があるものの中々身体が動かないでいる。
「風見の髪って天然なん?」
目の前で一生懸命ご飯を頬張る風見を見るも話を聞いていなかったのか目を丸くして首を傾げるばかり。
「ふみまへ”ん…ごほっ」
「飲み込んでからでええよ…笑」
自分の水が入ったペットボトルを差し出すと少し会釈して涙目で受け取った。
その仕草に胸が掴まれたかのようにぎゅっと苦しくなるもすぐに正気を取り戻す。
「ありがとうございます。それで、なんの話でしたっけ?」
「髪。風見のって天然なん?」
「あー…めちゃめちゃ天然っすよ。これでもマシになった方なんですよね。」
そう言って箸を置くと風見は珍しくスマホを取りだした。
そして何かスクロールし始めると画面を才木へと向ける。
「うわ…これ何歳!?」
「たぶん6歳とか?」
画面に写る少年は健康的に焼けた肌と大きな目が印象的。
今よりもフワフワとした髪は背丈や顔立ちは変わっているものの風見の面影を残していた。
「なになに?俺にも見せてや」
隣に無断で座りトレーを置いた村上がそう言って風見の画面を覗き込む。
2人の距離感に頬を膨らませ嫉妬を滲ませると才木は気を紛らわすためか野菜を口いっぱいに頬張った。
咀嚼を何度かしたところで風見が急に大きな声で笑い始めたものだから才木は驚いて風見を見た。
「ふふ、浩人さん、その顔やめて…笑」
「へ、おれ?」
口いっぱいに詰め込んだ才木のリスのような顔がツボにハマった様子。
風見は目に涙を浮かべて才木の顔を指先で笑う。
「いっつもこんな顔やろ」
そんな村上のツッコミにもハマったらしく風見は椅子から落ちそうな勢いで笑う。
村上には癪に触ったものの風見が笑ってくれるのならこれ以上の幸せはないだろう。
「痛い痛い…!風見笑ってへんで助けろ!」
「風見は笑顔が1番やからな。」
才木は心の底から満たされたような顔で風見を見つめながらもその長い腕は村上の首に回されていた。
この幸せな日常に風見は笑いが止まらずとも幸せを強く噛み締めていた。