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【ミスマッチ。?】
少し明るくなった夜明けを浴びながら目を覚ませば、見慣れない窓の景色に何故か少し背中に暖かみを感じて、振り向いてみる。
「……般若さん。?」
寝息を立てながら温まった彼の顔が自分の目に覗く。
昨日の記憶が無いということに気付けば、きっとここまでかという程自分が酔っていたと察した。
自分の服も見慣れない服装な事を考えればシャワー室まで借りたと思うと彼の優しさが暖かい背中の体温をさらにあげている気がした。
「……少し失礼しますね」
自分がそう呟いた後に布団から出て彼に布団を掛け直す。
見慣れない景色を写す窓の奥にはベランダが見え、反射した般若さんの部屋が目に映り、物の配置を認識して自分の上着であろうジャンパーを羽織りベランダの窓を開けた。
ベランダに足を付け窓を閉めると冷たい風が頬に触れ秋になりつつあることを感じさせる
「にしたってよく同じベッドで寝ようと思ったなぁ、酔った勢いでねだったのかな」
考えた事を口にすると小っ恥ずかしいなんてことが湧き上がって、顔に温度が集まることを感じる。ジャンパーのポケットに手を入れるとなにか四角い箱とプラシチック制であるなにかが手にあたる、それを煙草とライターだと認識すると掴みポケットから手を出して口に煙草を咥える。
「…窓開いてないですよね」
もう一度窓を閉めたことを確認して
カチャカチャと音を鳴らしライターの火を灯して先に咥えていた煙草につける。
いつものように煙を吸っては吐くと灰色の煙が目線を横切った。
「にしても、少し涼しくなりましたねぇ、もう秋ですか。」
『誰に話してるんだい狐さん』
聞き慣れた声が横から聞こえてきたと同時に自分の体を揺らす。
「うぉっ、びっくりした」
『そんなにビビることかよ、それに一応俺の家だしな?』
少し眠そうな瞼を手で擦りこちらを見るのは家主の般若さんだ。
『あと煙草のにおい着いたらどーすん
の笑』
「あっ、すみません洗って返します」
悪戯に笑うように言う彼の言葉にハッとして、罪悪感を胸に残して言葉を放った
『いやいいよ?そんくらい洗濯で落ちるし』
「ありがとうございます…でも、ちゃんと恩返しくらいさせてください」
優しい言葉に甘えたらきっと甘え続けてしまうな、なんて考えながら適当に言葉を発する。
『……』
「……寒くないんですか?」
少し沈黙が続いた後自分が言葉をなげかける。
ちゃんと目をやれば彼は黒いタンクトップで見るだけで寒さを与える様な格好だ。下は長ズボンのようだが朝の寒さには俺でも参ってしまう。
『んー、ちょっとだけ』
そんな些細な返事が飛んできたのを確認して自分の上着を脱いで彼に渡す。
「……使ってください」
『えー笑…悪いよ笑』
「いーから、般若さんが風邪ひいたらおれ悲しいですよ」
『…ん、ありがと』
少し恥ずかしそうに上着を羽織始める彼に目を向ければやはり少しだけオーバーサイズになっていた。成人男性とは思えないような愛らしさが出ているなんて思ってる自分がいるのは何故だろう。
「かわいらしいなぁ…」
『男に言うことじゃないから』
嘘のつけない自分がにくったらしいくらいに小さく咄嗟に出た言葉がそれだったことに気付いた時にはもう、貴方の耳に届いていた。
「ははは、なら耳を少し赤くしてる貴方も、男にする対応ではないでしょう」
少し笑い混じりに、半分冗談のつもりでそんなことを言ったらあなたはどんな事をするんだろうと気になった。
けどその後に残るのは沈黙、その1つに収まってしまう状況。
「…般若さん?」
少し不思議に思ってしまって、引かれたかなんて思って横に居る般若さんに目をやればさっきよりも鮮明に。少し青くくすんだ空には合わない程耳を赤くして。視線なんて合わせてくれないだろうと言うほど奥の方を見ていた。
『そうゆう褒められ方とか、あんま慣れてない。』
口を開けば、いつも自信満々に言葉を連ねるはずの彼がそんな事を言うとは思えなくてその一瞬の出来事が瞬時に頭に入らなかったからなのか、1つ溜息をついて言葉を口から押し出す。
「これが年中モテ期の人ですか…笑」
そんな肌寒い中、体温がどちらともきっと上がってて。
きっと昼になれば、他のメンバーと顔を会わせれば忘れてしまう小さな小さな、二日酔いの朝を迎えた