テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【ここからどうしよっかな。】
うっすら目を開ければいつも一人で寝てるベッドから見える景色とは全く違う光景が目の中に出てきて頭が良く回らない
「おはよ。」
そう静かに後ろから聞こえたのは困惑していたそんな数秒にもならない一瞬の間を挟んでから。
『あ〜、そんいや昨日ヤってたんだっけな…』
「人の腰めちゃくちゃにしといてよくのうのうと言えたもので」
いつもなら吐かない言葉にいつもなら聞くことなんてない言葉。馬鹿みたいに酔った時の翌日にしか耳に通らない会話をして、ホテルであろう部屋のベッドから体を離して風呂に向かう。
『…今度詫びるからねぇ、お風呂行ってくる』
いつもの口調がやっと回って来ようとしてると理解した後にシャワーを浴びて湯船に浸かる。そしたらふといつもなら考えられない昨日見ていたであろう般若の姿をふつふつと脳に湧き上がってくる。
『…はーっ、こうゆうとこはずっと俺も男子なのかねぇ…?』
呟く言葉も何もかも日常には無いんだと思って、昨日の事を思い出そうとしても昨日は酔っていたのだろう、頭痛のせいと言いたい程全貌を思い出せない。
こうゆう時に馬鹿みたいに痛くした頭なら言い訳できるんだけど。
とか思いながら他の思考が頭を横ぎる
例えば、毎回あんな事をした後に思い出すのは匂いだよなぁ。とか
名前なんてしてる時に呼ばれたかなんて覚えてないけど、言葉をそこまでちゃんと覚えてないのに毎回匂いは頭にある
つけた覚えのない知らない匂い。なんだか少し胸焼けする甘くて綺麗でこびり付くような匂い。
『も〜本当なんなんだろうなぁ。わざとなのか、ただの無意識なのか、いつも匂いが違うのはオシャレなのかねぇ』
思い付く限りの言葉を出してみても答えには到底足を踏み入れられない。頭に出てくる事実は匂いだけ。
どこでつけたのかも分からない、他の人と行為をしてるのか香水なのか、会っている人がその匂いが好きなのか色んな思考が俺を狂わせて考えられなくしていく。
時折そんな事思ってる自分にハッとして直ぐにそんな考えをやめにする。
『あがろう、のぼせちゃう』
そう呟けばお湯につけてた自分の体を引き上げて
体をつたる生暖かい湯をタオルで拭う。
二日酔いの疲労感や行為をして疲れきった身体がすこし楽になったななんて考えて服を着る。
般若が居たと記憶を辿り部屋に戻ってくると水を喉に流し込む般若が目に入り込む。
『あがったよ』
「……んっおかえり」
一言零すとこちらに気付いたのか水を口から離し一言返してくれる。
なんだか毎度その姿が愛しく感じてしまうのはなんでだろうか。この姿を見せたくないなんて大人気ない気持ちが喉から出そうになる。
『……うん』
「なに、どーしたの」
少し間のある返事に気付いたのか少し不思議そうな顔をして優しく口を開く般若、その心配そうな目も優しい声も俺だけにして欲しい、
君の全てが俺好みと言えばどう反応するのかな。ずっと落ちてくれない貴方を俺色に染めたいなんて言ったらどんな顔で、どんな言葉を並べるのかな。
『んー笑。大丈夫』
だけどきっと落とすなんて無理で、紫(俺の色は)君には適わない。
「……無理すんなよ頭痛いなら少し休んでればいいさ」
その優しさに、黒(般若の色)に飲み込まれてるのは俺なんだ。少し君が入ってきたんじゃない俺が包もうと、そう思って立ち向かったら俺の色がどんどん黒くなる。
『はんにゃ。』
心配そうな君の名前を呼ぶとこちらち目をやる般若。
「どうしたー、」
そう、言いかけた口に長くてあまったらしいキスを落とすと般若は目を見開いて、俺の服を掴みながら拒否なのか求めてるのか分からないそんな態度。
「っ……」
すこし苦しくなってきたのか背中を数回軽く叩いてきたところで口を離す
『……』
「昨日で満足できてないのかそれとも酔いが覚めませんでしたかー?」
少し耳を赤らめながら頬を染めながら惹き込まれてしまいそうになる黒い目がこちらをじっと見つめてきて、でもそれがたまんないほど愛しくて。
男同士、差別が無くなってきた今でもきっと周りからは驚かれるような行為で、
きっと昔の俺だったらやんなかったんだろうな。とかそんなくだらない事を考えてばかりで君の言葉に言葉で返せない、目を見る事しか出来なくてそれがどうしようもないくらいもどかしくて。
無理やり頭の中を混雑させて最後に出てきた言葉が咄嗟に口を飛び出した。
『……すきだなぁ、』
「…え?」
『あっ、!!』
たちまち、自分の言葉に困惑や不快感さえ覚えて無理やり閉じ込めてた蓋が開けられて。息が止まっていく。
〜🖤🖤
苦しくなる程の口付けを落とされて茶化したあとに聞く言葉は、なんなんだと思えば沈黙が続いた。
何かを真剣に見る目が俺を視界に入れる
『……すきだなぁ、』
「…え?」
『あっ、!!』
急にそんな目をしてた相手から出た言葉はたった2文字の意味を含んだ言葉
自分の耳を疑ったのか出た言葉はひらがな1つで表すような単純な言葉。
おかめは目を丸くしてさっきより顔を離してく。
『ごめんっ、びっくりしたよね』
そうやって言うおかめの目の表情は申し訳ないと言葉が刺してきそうなくらい焦ってて。垂れきった眉が更にその言葉を焦りに見せてて。
「ふっ、笑」なんて咄嗟に笑いがでてしまうほどに見た事無い表情をしてた。
きっと今、2人の思ってる事は重なっているだろう
単純で、簡単なその一言の重みを知るのは、それを思う人だけで…相手の顔も自分も真っ赤で。
あー…こっからどうしようかな。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!