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タクトは、廃墟の中心へと向かっていた。地面は裂け、空には黒い稲妻が走る。そこに存在しているのは、世界を揺るがす悪の根源――「根源の悪魔」。
「おい、こんなとこに悪魔がいるのかよ。」タクトが眉をひそめた。
「まぁ、見とき。」マデスは焦りを隠すように軽口を叩くが、その声にはいつもの余裕はない。
建物の残骸の向こう、暗闇の中から巨大な影が現れる。その姿は人間とも獣ともつかない異形で、無数の目がタクトたちを捉えていた。
「*汝らは、我が永遠を汚す者なり*。」根源の悪魔が低く響く声で言葉を発した。
「また文字化けかよ!」タクトは剣を構えながら毒づくが、今回はその声が不気味なくらいハッキリと聞こえた。
根源の悪魔はその場に立つだけで周りの空間をねじ曲げ、重力の波を生み出している。タクトたちはその場に立っているだけで膝をつきそうになるほどの圧を感じた。
「これが最後の相手や。気ぃ引き締めや!」マデスが叫び、光の術式を展開する。
ミカエルは不敵に笑いながらも慎重に悪魔を見据える。「俺に頼れよ、タクト。お前じゃこのクラスの敵には――」
「うるせぇ!ナルシスト野郎!」タクトがミカエルの言葉を遮り、突進する。
根源の悪魔はその巨体をゆっくりと動かしながら手を掲げた。その手には禍々しい黒いオーラが渦巻き、地面から無数の触手のようなものが現れる。
「これがラスボスか……!」タクトは触手をかわしながら一撃を放つが、根源の悪魔の表面は固く、剣が弾かれる。
「タクト!無闇に攻撃するな!弱点を見極めろ!」マデスが叫び、術式を発動。
光の槍が悪魔の腕に突き刺さるが、それでも大きなダメージには至らない。
「クソッ、時間がないってのに!」タクトが舌打ちする。
ミカエルが冷静に指示を出す。「あの目だ。ヤツの無数の目が弱点だ。俺が牽制するから、お前は動き回れ!」
「へいへい、ありがとさん!」タクトは軽口を叩きながらも、即座に悪魔の背後に回り込む。
ミカエルの攻撃が悪魔の注意を引きつけている隙に、タクトは全力で剣を振り上げた。
「これで終わりだ!」
剣は悪魔の最も大きな目を正確に貫いた。悪魔の身体が大きくのけぞり、地響きを立てながら崩れ落ちる。
しかし、その瞬間――悪魔の身体から無数の影が溢れ出し、再び形を成そうとしていた。
「まだかよ……!」タクトが歯ぎしりする。
「最後の仕上げは任せとき!」マデスが高らかに叫び、己の力を解放した。全身が光り輝き、周囲を飲み込もうとする影を焼き尽くしていく。
やがて、根源の悪魔は完全に力を失い、その巨体がゆっくりと崩壊していく。
「……終わったのか?」タクトが息を切らしながら尋ねる。
「ふぅ、どうにかな。」マデスはぐったりと膝をついた。
ミカエルは剣を肩に乗せ、不敵に笑う。「まあ、俺がいなければ無理だったな。」
「調子乗るなよ。」タクトは苦笑いを浮かべる。
タイマーを見ると、「残り時間0:00:21」と表示されていた――ギリギリの勝利だった。