テラーノベル
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ソ連「あぁもうクソがっ…!」
「ナチ…!?」
ナチはioを見ると恍惚とした表情を浮かべ、それと同時にソ連に恨めしい視線を刺した。その刺すような視線に背筋が凍る。ソ連は休憩もせずに走り、林に行き着いた。幸いナチはまだ追いついていないようだった。
ソ連「イタ王、絶対に音を立てるなよ。」
「わ、分かったんね…」
ソ連は林の中の藪に逃げ込み、ioを守るようにして辺りを警戒した。
暖かかった。ソ連は体温が高く、ほのかにウォッカの匂いがしていた。
「ソ連、ホテルでウォッカ飲んだんね?」
ソ連「……」
「それでうたた寝しちゃったんね?」
ソ連「……飲んだのは謝る」
「うたた寝したのは?」
ソ連「……」
「ふふっ。大丈夫、怒ってないんね」
ソ連がioから顔を逸らした。なんでかは分からないけど。
パキパキと枝を足で折る足音が近づいてくる。
底が硬い、重いブーツを履いているナチの足音だとすぐに気づいた。
足音がio達のすぐ近くで止まり、銃を構えるカチャカチャという金属音がしている。そして少しの間を置いて、けたたましい発砲音がioの耳に響いた。威嚇発砲だった。鳥達が一斉に飛び立ち、林の中が騒然としているように感じられる。
ソ連「…イタ王。逃げろ。」
ソ連は一言、それを言って藪から外に出た。ioもそれに続いて、ソ連が出たのと反対方向から出て逃げた。
後ろでは、ナチとソ連が言い争いながら戦闘している音が聞こえる。
ソ連は、あの時。
ioに逃げろと言ったとき、少し悲しそうに微笑んでいた。
イタ王を逃し、ナチスの前に出る。ナチスは気持ちの悪い笑みを浮かべ、そしてすぐに銃を構えた。
ナチス「ちょうどいい!!お前はのことは前々から殺しておきたかったんだよソ連!!」
ナチスは目を見開き、俺に急接近してきた。
ソ連「うるせぇクソメンヘラ野郎!!気持ち悪りぃ!!」
ナチスが素早く引き金を引き、その弾丸が頬を掠った。温い血が傷口から出て、俺はその血を手で拭き取った。
こちらに武器は無い。丸腰で銃に挑まなければいけない。だが、体格ではこちらが勝っている。このまま接近すれば…
そう考え、一歩距離を詰めた瞬間に。ナチスの拳銃が引き金を引いていないのに弾丸を発射した。それは俺の喉を正確に打ち抜き、貫いた。改造した銃か。
喉を押さえる。気道から空気が漏れる音と、血液が肺に流れ込む音がしていた。俺がよろめいた隙に、ナチスが腹を思いっきり蹴って地面へ倒した。
ソ連「ゔっ…!ゲホッゲホッ!!カハッ…」
ナチス「みっともねぇな、ソ連。」
ナチスが俺を見下すようにじとりと見て、腹を何度も蹴る。苦しかった。
ソ連「がっあ”ぁっ…い”っ…!ゲホゲホッ…!」
ナチス「ほらどうした?このままだとお前、俺に殺されるぞ?」
そんなことわかってる。こっちは喉撃たれて腹蹴られてんだよ。動けるわけねぇだろ。
体が言うことを聞かない。四肢に力が入らない。血を出しすぎた。喉を撃たれた時に頸動脈を掠ったのかもしれない。視界が、暗く滲む。
……死ぬ…。
薄れる意識の中で、考えることがあった。
俺は連合軍のヤツらの正義のヒーロー面が大嫌いだった。アイツらは自分だけの物差しで相手を推し量る。そうして利用価値がないと知れば、すぐに殺して捨てる。まるで虫を殺すように、一切の躊躇いなく簡単に殺す。
それが気持ち悪かった。
だが、アイツは違かったかもしれない。
アイツは最初、利用するつもりだった。ナチスの計画を邪魔するために。
ナチスは、イタ王の心を壊してから支配し、自分だけのモノにする計画を実行するため、イタ王を連合軍に売った。そして、その計画を俺や連合軍に自慢するようにしてべらべらと話した。
「俺とイタ王の本当の愛が叶うんだ」
「やっと一つになれる、俺が迎えに行ってやらないと」
と。その自分が正しいと信じて相手を踏み躙る歪んだ正義面が、吐き気がするほど気持ち悪かった。
俺とナチスは敵対しているにも関わらず、全てを隠すことなく話した。その意味が前は全く分からなかったが、今になって分かる。ナチスはきっと、俺に負けるつもりなどなかったんだろう。
藪の中で木漏れ日を浴びながら目を細めて笑い、肩を竦める姿。
俺はその顔を直視できなかった。できることならそのまま見続けたかったが、表情の変化を見られたくなくて顔を逸らしてしまった。
…もし。もし、ここで死なずに生き残ったら、またあの笑顔を見れるんだろうか。
そう考えたら、だめだった。
あぁ…
(死にたくねぇ……)
俺は未練を抱えながら、意識を手放した。
やっと邪魔者が消えてくれた。俺はソ連の死体に保険として二発の弾丸を打ち込み、愛するイタ王のところへと向かう。イタ王には発信機をつけているため、居場所を掴む事は容易だ。
今も発信機の場所は移動し続けているから、立ち止まらずに頑張って走っているのだろう。
そんな健気なところも可愛い。
早くイタ王と再会して一つにならないと。
さぁ、行こう。俺だけのイタ王を迎えに。
コメント
4件
なんですかこれ!無意識に口角飛んできましたよ!!良き!これみんな見てほしい!うあああ!神!
メンヘラ?ヤンデレこわぁ…ナチスがヤンデレとか苦手なのにおとうふ団子さんのは見れるの七不思議だと思います