コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「前へ前へ進め、命が続く限り、手足が動く限り。」
身体から血の気が引いていく、とめどなく血が腹から流れ出ている。腹部は真っ赤に染まり、そして、真紅に染まって小刻みに震えている自分の手があった。
漸く覚悟が決まった、自分で決めた自決。
だが、そこに恐怖はなかったそれよりも安堵が勝っていた。お金が家族の元に入る、全く足らないであろう恩を少しだけ、保険金という形で返せる。少しだけ、安心したこれ以上家族に無駄な負担をかけなくて済むこの痛みに心から安心した。けれども…。
僕は多くのものを捨ててしまった。だから捨てられることもあった。友に、家族にそして、何より自分自身に。だから、この結末は仕方がないと思う自分でどうすることもできない以上。
そういえば。次の人生はあるのだろうか?
もし、死んでしまって次の人生があるのなら、強い心が欲しい。今度は五体満足な身体は要らない、風貌が良くなくたっていい、ただ、ただ、友を、家族を、何より己を裏切らない強い心を持って。
この世という沢山の流れが成している太流の中に自分も入って行きたい、、確固たる信念に縋りながら。
「さあ、目を開け。」
和風の一室に優しい日差しが差す。
そして、そこに勇ましい漢の声が聞こえた。