テラーノベル
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──────いえ視点──────
「ん〜。まあ、言ってもいっか。」
そう言ってそいつは語り始める。
「最初に言うけど、私はもう完璧なんだ。だって、オブテインはプラス。本質は得ること。だから、私は完璧を得た。全ての次元を操れるし、時空、パラレル、全ての宇宙を掌握した。こーんな子供じみたお前たちを待つより、ずっと、ずっと前から私は存在の命運を握っていた。なのに、私はやらなかった。理由は簡単。後悔している私の姿を未来視で見てしまったから。だから、私は私が幸せになるパラレルを見て回った。…どこにもなかったんだよ。何をしても幸せな私はいなくて。絶望か、後悔か───どこにも幸せなんてないんだ。オブテインの力を使っても。幸せを得ることだけはできなかった。多分、我々最高神は神の仕事以外はできないようになってた。皮肉だとは思わない?何をしようと、過去の呪縛に囚われる。完璧なのに、幸せにはなれない。…おかしいよな〜。幸せになりたいから完璧になろうと頑張ったのに。結局は無意味で。無価値だった。完璧になった結果。その事実がわかってしまったんだ。」
そう言いながらそいつは微笑を浮かべる。その目は諦めきっていて、目に光がなかった。諦めているのだろう。幸せを掴むことを。
「あーあ。パラレルの私は世界を壊したらしいよ。作り直したらどうなったと思う?だーれも信用出来なくて、結局孤独。逆らうやつもいない。完璧な世界にはできた。ただ、孤独感が拭えずまた、破壊。それの繰り返し───。そんな馬鹿げたことを、私はしない。めめ村の仲間に入れてもらったルートもあった。そこでは、みんなは優しくしてくれる。だけど、私はお前たちを信じ切れず、虚しいだけ。それに、私は完璧になったことで死ねなかった。みんなが死ぬざまを見届け、その後の世界は虚無。───幸せなのか、これが?そんなわけないだろ。じゃあ、私が死んだ世界は?───無だよ。私が管理していた世界だ。私が死ぬという選択はつまり全ての消滅。存在そのものを無に書き換えられ、その世界は元々なかったことになった。───この結末を知れるのは完璧になったら【最高神】のみだ。そもそも完璧になれた私がそんなにいない。無限の可能性があるからこそ完璧になろうも思わない私もいる。存在しない世界もある。だが、ひとつ言えるのは、どの世界でも私は幸せではなかった。」
だから、とそいつは続ける。
「だから私は諦めよう!完璧になったって幸せなんかじゃないなら、諦めてしまおう!だから、私はお前たちに託す。初代に託されたお前たちなら、きっとこの世界を上手く回していける。私は、もう疲れた。数億年以上生きた。時をしょっちゅう止めてたから、もしかしたら兆を超えてるかもだし、それ以上かもしれないが。もう、全て、全てわかってしまったから。もう、いいんだ。」
そう言って、そいつは俺に魂を押し付ける。
「───唯一の方法。それは…。東雲椎名。そいつが握ってるよ。全ての世界において、唯一外の世界に干渉したそいつなら、何か知ってるかもしれない。けど、ダメだった。あらゆる世界を覗いて、あらゆるそいつを問いつめたが、その前に血を吐いて死んだ。───その後の世界では、そいつの存在はなかったことにされていた。それに、世界によって、そいつはSれいまりじゃなくなってる。Aれいまり、Oれいまり。───1番訳の分からないやつだ。」
「どういうこと…ですか?」
さっきまで一切口に出さず聞いていためめさんが思わず、と言ったように口を挟む。そいつは淡々と答える。
「そいつだけ、完璧な私すら知らない存在を認知している。───いや、待て。椎名の1人がそいつの名前を言っていた。確か──────」
グチャッ
そんな、異質な音が響く。その音と同時にそいつの肉体が握りつぶされたかのように縮小し、肉、骨が露出する。不思議と出血はなく、ただ、肉の塊がだんだんひしゃげていく。ボキボキボキッと何本もの骨が折れるような音と、グチャグチャッズチャァッという肉の裂ける音がこだまする。そうして、目の前でそいつは【ミンチ】となった。完璧となって幸せを求めたものの、哀れな末路。最後には、原型が止められていない肉塊がぽつんと残され、最後には焼け落ちていく。そうして、そいつは魂以外の全てが消えた。
その時、ふと耳元で声がする。
(───禁忌に触れるな。)
その瞬間、心臓を握りつぶされる感覚。
「ゔぁ゙ア゛ア゛ぁぁああッッ!!!」
まるで、戒めとでも言うかのように、強烈な痛みを引き起こす。しかし、その後、ぱったりと消える。
「───ッ!はーッはーッ」
慌てて息を整える。手を、足を、体を確認する。───どこにも異常はなく、体はそのままだ。
めめさんを見ると、俺と全く同じ状況らしく、息を荒らげていた。
「なッ、なんですか…ッッこれ……!!」
めめさんも驚きと恐怖が隠せておらず、恐怖を口にしていた。俺は、声すら出なかった。
しかし、わかったことがある。【あれ】には触れていけないのだと。
左手に持っていた最高神の魂がふわふわと俺の顔の前に揺れながら止まる。そして、それは目の前で塵とかし、俺の体に吸収されるかのように溶け込んでいく。あまりにも多い情報量に、俺はついていけなかった。
ここで切ります!いや〜ちょっと、ね。すこーしだけ暴れさせてもらいました!さすがに私と、皆さんの存在に気づかれる訳にはいきませんから!仕方がなく、ってやつですよ。それに、取引相手は既にいるので増やすつもりは無いんですよー。どっかの世界のれいまりさんがバラしてしまったみたいですが。ま、許容範囲ですよ!それに、最高神が皆さんのこと認知したらまずかったんですよ!あいつら認知した瞬間に支配下に置きますから。2次元と3次元の壁は大切にしましょう!
あ、ちなみに完璧が幸せになれない、と言うのは持論です。絶対的や考え方ではないですし、この世界の最高神は、そうだったってだけです。そこんところお願いします!
それでは!おつはる!次回か次次回はおそらく最終回!最後までお付き合い、よろしくお願いします!
コメント
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ついに最終回…さて…絶滅か…
れいまりさんほんと救われないわよね
椎名ちゃん…名前だけの登場でも嬉しいわ…