「私も経験したことですが、穏やかな神の境地に入るには、まず心の中にある毒を吐き出さなければいけません、大丈夫・・・私がついていますよ 」
美子は頬を染め、不安そうに体を揺らしている
「あの・・・私・・・・私は・・・・婚約者に騙されました・・・私は傷つきました、なのにあの人はお構いなしで・・・私・・・・利用されたんです・・・」
握りしめる俊哉の手の甲にポツリと美子の涙が落ちた
「わかります・・・・傷ついて・・・その気持ちは心の奥底に埋めた・・・そうでしょう? 」
美子は泣きながら頷いた、俊哉はさもわかっていると言う風に何度も頷いた
「あなたのお辛い気持ちは痛い程わかりますよ、人間愛している人に裏切られるのは一番辛いものです、そういった辛い体験があなたの中で毒に変わり、潜在能力や人生に対する情熱を蝕んでいるのです」
「でも、どうやってその毒を吐き出すのですか?」
「今週の日曜日のセミナーでとても丁寧なプログラムを用意しているんですよ、研修は私も監修しました、もうご予約はされましたか? 」
彼はアイスクリームのように滑らかな声で言った、美子はセミナーと聞いて途端に緊張した顔をした
「ハイ・・・でも・・・まだ迷っていて・・・なにせ金額が1泊2日で100万でしょう?」
俊哉は何度も頷いた
「もちろんです!100万と言えば大金です、決してご無理はなさらないように 」
ホッとした表情で美子は言う
「・・・ありがとうございます・・・ 」
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