テラーノベル
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僕はもう、彼に触れたくて、触れてほしくて、耐えきれなくなっていた。
「強くなるまで待ってて」なんて自分で引いた境界線は、彼のあまりの愛おしさの前に、跡形もなく融けて消えていく。
震える両手を伸ばし、彼の浴衣の襟元をぎゅっと強く握りしめた。
視線が至近距離で交わり、部屋のなかの温度が一気に跳ね上がる。
「ほんまにええんやな……?」
しゅんの声は低くかすれて、ひどく切羽詰まった熱を帯びていた。
僕はもう言葉を返すことすらできなくて、ただ黙ってしゅんの目を見て深く頷く。
「……ふぅーー、……っ」
しゅんは一度、自分の理性を繋ぎ止めるように大きく息を吐いた。
けれど、もうそのブレーキは効かなかった。
徐々に彼の綺麗な顔が近づいてきて、僕はそっと目を閉じた。
唇に、柔らかくて熱い感触が降ってくる。
最初は優しく触れるだけの、労わるようなキス。
……それだけだと思ったのに、わずかに離れた唇は、すぐに飢えたように再び僕の唇を塞いだ。
今度はさっきのものとは全然違う、強烈なオスとしての熱量。
しゅんは僕の唇を舌先でこじ開けると、優しく、けれど容赦なく、何度も何度も味わうように僕の唇を食んでいく。
「……っ、はぁ……んんっ……」
重なり合う唇の隙間から、ふたりの呼吸が少しずつ荒くなっていくのが分かった。
彼の熱い舌が僕の歯列をなぞり、その間をゆっくりとこじ開けて、口内の最奥へと深く侵入してくる。
そのまま僕の舌を甘く掬い上げ、逃がさないように熱く絡めとった。
苦しいのに身体の芯が痺れるほどに気持ちいい。
僕はしゅんの舌の動きに必死に合わせるように応えながら、彼の首の後ろに腕を回した。
もっと、もっと……と、ねだるように、彼の大きな身体を自分のほうへと強く引き寄せる。
頭が融けてしまいそう。
キスがこんなにも気持ちのいいものだなんて知らなかった。
彼の唇がそっと離れていく。
繋がっていた銀の糸が切れるのを、ぼやける視界のなかで見つめた。
「はぁ……じゅう……好きや、ほんまに好きや……」
「……っ、ん、……俺も、好き……//」
じんわりと汗をかいて額に張り付いた僕の前髪を、しゅんの大きな手が優しくかき上げる。
露わになった額に、ちゅ、とわざと音を立てるようにして、愛おしそうなキスが落とされた。
それだけでは足りないというように、彼の唇は僕の額、耳、そして敏感な首筋へと、熱を刻みつけるように吸い付いていく。
「……んっ、ひゃ……//」
「……感じてるん?」
「……ち、ちがっ……んんっ……//」
必死に否定しようとした瞬間、僕の鎖骨のあたりに、不意にちくりとした痛みが走った。
「……いっ!! ――んっ、//、!?」
しゅんの熱い唇が、僕の鎖骨に強く吸い付いている。
しばらくして唇が離れると、赤く色づいたそこを、彼の指先が優しく愛おしそうになぞり上げた。
そのまま僕を見下ろすしゅんの瞳は、色っぽくて、妖艶で……けれど、僕を誰にも渡したくないというような、獰猛で荒々しい光を宿している。
「……しゅん……好き……っ」
「あぁ、もう……! そんなん煽って、……俺にどうしてほしいん?」
煽っているつもりなんて、本当にない。
ただ、過去の暗闇も、ずるい自分の葛藤も、すべてを忘れてしまうくらいに、早く彼の温もりに触れてほしかった。
「ねぇ……はやく、来て……?」
「……っ、ちょっ、ほんまっ! ――はぁ、もう、知らんで……?」
しゅんは低く唸るように言うと、僕の膝の下と首の後ろに滑り込ませるように腕を回し、僕の身体を軽々と優しく抱きかかえた。
浮遊感のあと、そのままふかふかのベッドへと連れ去られ、白いシーツの上に僕の身体を優しく沈ませる。
しゅんは僕の太もものあたりを跨ぐようにしてベッドに膝をつくと、僕の乱れた髪を優しく撫でた。
その手の動きのまま、彼の指先が僕の浴衣の帯をさらりと外し、はだけた衣服を躊躇なく剥ぎ取っていく。
「……、じゅう、きれいや……」
下着だけになった僕の素肌を、彼の大きな手のひらが、熱を確かめるように優しくなぞっていく。
僕を真っ直ぐに見つめる彼の瞳は、もう完全に余裕をなくしていた。
その熱い眼差しにあてられて、身体の奥がゾクッと震える。
かつて、あの暗闇で僕は自分の身体を「汚いもの」だと呪った。
一生消えない穢れが刻まれたのだと、自分を嫌って生きてきた。
だけど、今、僕を見下ろすしゅんの目は、完全に僕のすべてに欲情し、世界一の宝物として僕の身体を求めてくれている。
彼のその瞳を見ているだけで、 伝わってくる圧倒的な愛の熱を感じているだけで。
僕はもう、自分の身体のことを悲しまなくてもいいような気がした。
to be continued………
その
1
みほ

53
#しおたろう
コメント
2件
ほんとにこの作品大好きです😭💖何よりはるさんの言葉選びが最高すぎてよりやわしゅんの沼にハマってます💘 これからも応援してますっ‼️‼️