テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠ちょいグロ
第23章一夏の花火のような恋をした
「日比谷さんっ…、日比谷さん!!」
僕は何をしているんだ
何故日比谷さんを連れてきた
何故あの時彼女の手を握らなかった
いや、握れなかった
あと僅かの所で手が届かなかった
僕がもっと手足がながければ、届いていたかもしれない
もっと、がたいがよくて背が高かったら日比谷さんを庇えたかもしれない
そんな後悔と自分への自虐心が頭一杯に埋め尽くす
僕は、どうしたらよかった…?
〈…ぃ…て、〉
「え、?なに、なに!日比谷さんっ…」
〈…ぁ、の、はなび、の…おか…に、ぃって…?〉
「はなびの、おか…?」
「それって、神社のところの…?」
〈………〉
「ぇ…?日比谷さんっ!?へんじ、してっ…!?」
僕が投げかけた問の答えは聞くことすらできなかった
ピーポーピーポー…
向こうから大急ぎの救急車が到着した
もう遅い
僕にはわかる
僕の膝の上でぐったりと寝転ぶ彼女はもう冷たい
あんなにたんぽぽのように綺麗だった金髪も浅黒く染まっている
自分の顔を自分で見れるわけがないとはわかっているんだが、なんとなく今の自分の表情がわかる気がする
多分そう、きっと、絶望と後悔、全てがどうでもよくなって死んだような顔をしているだろう
すぐに駆けつけてきた救急団員に白く冷たい日比谷さんを預ける
そのまま乗っていくかと聞かれたが、僕にそんな事ができる権利はない
ふと気がつくと、日比谷さんのご両親が駆けつけていた
全力で我が子に呼びかけるもその眼は開くことがない
救急車には二人に行ってもらうことにした
お二人は優しく、僕も一緒に来てほしいと言ってくれた
でも僕は、今は日比谷さんに合わせる顔がない
その後、少しして警察車両も到着し、その場で事情聴取をされた
子供の親には感謝された
僕は何もしていないのに
それなら起きた日比谷さんに直接言ってと、苦し紛れにそう助言した
僕は警察官から血まみれのズボンを着替えるようにと言われ、貸してくださった服を着た
幸い、もともとジャージだったので親に迷惑はかからなさそうだ
着替えた僕は、とぼとぼと足取り重く宛もなく彷徨う
ふと見かけた細い裏路地に入る
誰にも言えなかった、今のこの気持ち
言えるはずがなかった、
「僕が……僕が…っ…!」
「僕が…、文化祭の材料なんかっ…買いに行こうって…っ…!」
「急に、言いっ…出したから…っ…!」
「僕の…っ、せい、で…っ…!」
溢れんばかりの大量の涙を瞳に溜める
次々と零れ落ちる雫
雫が通った跡が残り、そこにまた雫が流れる
とめどなく溢れてくる
ああしていればよかった、あの時行動していればよかった
醜い後悔と自虐心が心を蝕む
少し落ち着いてから、涼に電話した
「…ぁ、りょ、う…?」
『んー?どうしたんだ?』
『あ、まさか荷物買いすぎて持てないとか!?w』
『待ってろよー今そっち行ってやっから!』
『…って、今どこだ?』
「……聞いて、涼」
『なんだ、?改まって…』
『というかお前、声震えて…』
「っ…、ひ、日比谷さんがっ…、」
「飲酒運転の大型トラックに跳ねられたっ…」
『…は、…?おい、お前言っていい嘘と駄目な嘘があるぞ…?』
『冗談はよせよ、みんな待ってるんだぜ…?』
「……ほんとにっ…うそ、だったらよかったのにね…」
『…今どこだ』
「…〇〇店の横の裏路地…」
『…今行く』
電話してからたったの5分で涼は着た
涼の顔を見たらまた溜め込んでいた涙が溢れ出してしまった
「涼っ…!ごめんっ、ごめんっ…!」
「ぼくが…っ、僕がぁっ…」
涼の胸で泣き崩れる
涼のジャージを掴んで、全力で
『……本当、なのか…?』
「……本当、なんていいたくないよ…」
「でも…、っ」
涼は何かを悟ったように
『…お前のせいじゃない』
『お前みたいなお人好しは、夕華を見捨てるわけがない』
『絶対に助けようとしたはずだ』
『それでも無理だったってことは…、仕方ないこと、だ…』
涼も今にも泣きそうだった
あんなにいつも爽やかなこいつが、初めてこんな涼を見た
それから涼も一緒に裏路地で号泣する羽目になった
〔早海、まだ来てないのか…?〕
『…そうなんだ、あいつ自分のせいだって塞ぎ込んじまった』
『…ちげぇのに、』
〔……これは文化祭役変えたほうがいいですね、〕
『そう、だな、』
〔涼は出るの?〕
『まあ、一応』
〔そっか、よかったです〕
涼side
あれから琉生の顔を1週間も見ていない
家に行っても声すら聞けない
何度も言ってる
L◯NEでだって、お前のせいじゃないって何度送ったか
でも俺の言葉じゃあいつに届かない
『こんなとき夕華がいてくれたらなぁ…』
なんて夢物語を今でも見ている
俺は夕華が好きだった
でも、琉生も夕華が好きだった、と思う
正直、怒りの感情もあった
だが、泣いている琉生を見てみんな同じ気持ちだとわかった
なんで、お前だけが背負う
重たい荷物なら俺に分けろと、1年前にも言ってたのに…
そこでふと思い出す
琉生が泣きじゃくっていた横に紙が落ちていた
多分夕華の言い残した言葉とかをメモしたものだと思う
『…花火の丘に行け、ね…』
『あいつは覚えてんだか…』
少し冷たい空気が漂う秋の季節
今日は一層空が暗く感じた
琉生side
日比谷さんが亡くなって1週間が経った
未だに僕は気持ちを克服できていない
外に出れば、何故助けなかったのかと日比谷さんが、そのご両親が僕に問いかけているかのように感じてしまうからだ
多分幻覚と幻聴
それでも嘘のようにも思えない
この1週間のうちに日比谷さんのお葬式があったらしい
涼に行くように言われたが、行けなかった
なんて言えばいいかわからなかったから
僕は本当に弱虫だね
この1年で変わったなんて、戯言だ
ちっとも変わってないじゃないか
変われたと思っていたのは、日比谷さんが横にいたからだ
今もこの様子を空から見ているのなら、怒っているだろうな
そんなにぐずぐずしないのって、
でも無理だよ、僕には
僕にはできない、変われなかったよ
「…ごめんね、日比谷さん…」
そう言う、カーテンの閉め切った暗い暗い部屋の中
スマホの通知音だけが響いていた
ピコンッ
ふと気がつくと夜中の2時
涼からだ
読む気になって見てみる
「うわ…」
通知は見たことない件数に
三桁までいっていた
それはみな、僕を気遣う言葉ばかりだった
その言葉一つ一つに少しずつ温められた
『お前、夕華からの伝言、行ったか?』
涼からのメールだった
なんで彼が知っているのかわからなかったけど、やっと思い出した
気持ちが伏せって、忘れてしまっていた
僕は本当に最低だ
日比谷さんが最期の最後に教えてくれた伝言だったのに
「花火の丘…、!」
僕は肌寒い夜の中、上着も着ずに玄関を飛び出した
人々は寝静まり、街灯の明かりだけが灯る
その道を全力で走る
出てくる時にサンダルできてしまったからか、小指が擦れて痛い
でもそんなことお構いなしだ
血が出ようと、怪我をしようと、僕は走る
「はぁ、はぁ…はぁっ…」
「つ、いた…」
そこには少しだけ鳥居に明かりが付いた神社があった
一礼をし、一目散に草むらめがけて走る
虫がどうとか言ってられない
…本当は嫌だけど
着いた、けど何も見当たらない
「なんだよ…、何もないじゃないか…っ…、w」
落胆したような、期待したけど裏切られた、そんな気持ちだった
「ぁ…、そういえば…」
ふと思い出し、いつも花火を見ていた所の地面を手で掘る
手は土だらけ、石が当たり少し痛い
でも掘らなければいけない
掘り進めて少し経った時に、金属製の箱を見つけた
この場所は、夏休み前に2人とお花を植えられたらいいね、と話していた場所だ
冬休みになったら植えようと話していた
もうその願いは叶わないけれど
「あった…、!」
中身は、手紙だった
ありふれた物だけど、今の僕にとっては大切な物だ
琉生へ
今、君はどうしてるかな?
何ヶ月後の君なんだろう…?ちなみに今私がいる時は、星の天体観測の次の日だよ。
これを読んでる数カ月後の琉生ー!
今の君は強くなれてるかな…?
自分なんかって思ってないかな…?
まあ、私が教えないと見ないだろうから…、きっと強くなってるよね!
この先、文化祭とかあるね!3人で頑張ろ!
全力で楽しんで、最高の思い出にして、それでもっと自分に自身を持ってね!
この半年程、色んな事があったね
夏休み遊びに行ったり、この場所で琉生と初めて会ったり
本当にこの夏が琉生達といられて楽しかったし、すごく幸せだったよ!
私に幸せを分けてくれてありがとう。
私と友達になってくれてありがとう。
できるのなら、もっと2人と仲良くなりたいと思ってるし、もっといろんなとこ行って遊びたいって思ってる!
ちょっと照れくさいけど、私にとって琉生は流れ星のような存在だよ。
君はどうせ自分のことを暗くて真夜中みたいだって言うかもだけど、真夜中って星がたくさん輝く時でしょ?
だから私は、君がその星達を支えてくれているんだって、思ってるよ!
だから胸を張って!大丈夫。1人じゃないよ!
最後に、ずっと言いたかったけど言えなかった
好きです。
これからも、よろしくね!
日比谷夕華
「……っ…、」
「そっかぁ…っ、そっかぁっ…、」
あの時、ここで見かけた日比谷さんは見間違いじゃなかった
親と来ていたんだと思う
ここにこれを埋めるために
丁度僕とすれ違ったんだね
「…ゆ、うか…っ、」
「もっとっ、もっとっ…早くに言っていればよかったっ…」
「意地なんか張らずに、早く名前で呼んでいればよかったっ…!」
「本当に、僕は最低だ…っ…」
でも、こんな最低にもこんな優しい言葉を使ってくれる人がいる
胸を張ろう
これからは自身を貶すようなことは思わないようにしよう
そして、
「僕も、とっくに君のことが大好きだったよ」
「夕華…、」
いつ恋に落ちたのかはわからない
もしかしたら出会った時かもしれない
あるいはもっと最近のことなのかもしれない
「君に、直接…言えたらよかったなぁ…っ、」
「もっと…っ、声を聞きたかったなぁ…」
叶わぬ願いと想いを星々に語る
次々と溢れてくる涙を拭き、立ち上がる
「またね、夕華…」
僕が背を向け歩くその背景では、星々がキラキラと輝いていた
エピローグ
ガヤガヤガヤ__
『おーい、琉生、手を放すなよー』
「わかってるって」
「ほんと、これは昔から変わんないね」
『今でもお前人混み嫌いだろ?』
「そうだけど…、昔よりかはマシだよ」
「今は涼の方が人混み嫌いなんじゃない?」
『…そうかもしれん、w』
「ほらw」
両手には沢山の出店の商品
草むらの先の丘でひと休み
『しっかし…、あの時の琉生の伏せぎっぷりはヤバかったな…』
「しかたないだろ…」
『まーな、』
『というか琉生垢抜けたよなー!』
『髪ずっとばっさりじゃん』
「うん、こっちのほうがいいかなって」
『たしかにな!』
僕は伸びた前髪と横髪をバッサリ切っていた
おまけにコンタクトデビュー
『琉生すげーよな!写真がバズって、ネットのフォロワーやばいじゃねぇか』
『何百万人かいるんじゃね?』
「はは…」(そんなにいねぇよ(小声
「そういう涼はここの市役所勤め始めたんだっけ?」
『そうそう!今は街の企画とかイベントの部署にいるからもっと花火大会増やしてやるぜ』
「いいね、夕華喜びそう」
『だな、』
『そういえば卒業式とか夕華の遺影持って号泣してたもんな琉生w』
「うっさい、w」
文化祭はと言うと、ぎり間に合ってそのまま騎士役を演じた
垢抜けしたのはその時だ
「さ、食べよ?」
『そうだな!』
【いただきます!】
僕は普段食べない林檎飴を頬張った
「…やっぱり僕には甘すぎるや、」
そういうと僕らの間に植えてあったたんぽぽが少し揺れた気がした
一夏の花火のような恋をした【完】
……終わっちゃったぁぁ…!
まさか最後まで行くと思ってなかった…w
まあ、ほとんどの人が見てないんですけど((
それと最初から見てくれてる人はわかるかな…?
最初よりも会話文が増えてるんですよ!
最初と最後を見比べればわかると思うけど…!
ちょっと書いてて自分でも泣けてきた((
はい、w最後までお付き合いいただきありがとうございました!!
それと、これの続編?いや、違う人の視点からのやつを、今日の夜10時に忘れてなければ投稿します!
で、この話の過去をBLで、まあif版ですね
を、明後日くらいには投稿しようかな〜…
多分、BLと続編を交互に出すかも!
よければ見てね〜
夕華生きてたパターンも見たかったらコメしてほしいです!
今まで見てくださってありがとうございましたー!
では!
一夏の花火のような恋をした:合計.23話
続編サムネ↓
if版サムネ↓