コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
加)あの頃に戻りたい〜
そう俺の隣で嘆くカナダを、俺は鼻で笑った。
米)そんな小説とか漫画みたいな事怒る訳ないだろ
加)だとしてもだよ兄さん!
俺がそう言うと、カナダは何故か目を赤くさせて声を上げた。
加)逆に兄さんは思わないの?あの頃に戻れたらなって
そう頭を傾げ質問をしてくるカナダに、俺は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
米)…特にこれと言ったものは無いな
俺がそう言えば、カナダはつまらなそうに、不満そうな顔を浮かべ
加)そう?
と口にした。
加)本当はあるくせに…
米)…?何か言ったか?
加)別に何も?
カナダが何か言ったように聞こえたが、本人が何も言っていないと言うならもう何も言わない。
俺は手にしていたコーラをごくんと飲んだ。
その日の夜。
俺は今朝のカナダとのやり取りを思い返していた。
米)…ハハッ
本当はあの頃に戻れたらなんて思った事は何度もある。
俺は素直じゃないなと改めて思い、ハハッと笑いが込み上げてきた。
俺は元々過去に囚われるのは好きじゃあるまいし、ましてや後悔をするなんてあまり無かった。
だけど今の俺はとても後悔しているし、悲しい。
たった一人の男を失ったから。
米)なぁ日帝〜寂し過ぎて俺死んじまうよ〜
『日帝』
その名前の持ち主こそ、俺が今もずっと後悔している人物で、会いたい男だ。
俺はお得意のジョークのようにそう呟いたが、これはジョークじゃあるまいし、本心だ。
米)…会いたいなぁ…
俺は子供のように床ににうずくまる。
俺は日帝が好きだ。だが日帝は片想い相手で敵。
叶わぬ恋だった。
そして最後は俺に敗れた。
あれから100年程経つが、俺は一切日帝に会えていない。
今は何処にいるのだろう?何をしているのだろう?
出来る事ならあの頃に戻って何もかも失わない未来を作りたい。
俺の意識はその思いを胸に刻んだと同時に切り離されてしまった。
ーー…どこからか小鳥の囀りが聞こえる。
そして肌には涼しく、少し肌寒い風がかかる。
…?肌寒い?
今は夏だぞ…?
そう不思議に思いふと目を開けると、まず目に飛び込んできたのは眩しい太陽。
米)…は?
俺はあたり一面原っぱにいた。
俺はムクリと起き上がる。
…ここは夢の中か?いや、にしてはリアルだな…
風に吹かれ揺れる葉が肌に当たってくすぐったい。
米)っうかここ…
俺は言葉をとぎる。
今俺がいるこの原っぱ。初めて来た場所、見た光景じゃない。
俺は混乱している頭を整頓しようとうねっていると突然誰かに背後から声を掛けられた。
)ここで何をしている?
その声を聞いた瞬間、俺の心臓はドクンと、大きく鳴った。
有り得ない、そんな…でも
信じられないという気持ちと、ばっと溢れてきた歓喜が混じり合う。
)聞いているのか?
そんな俺の背後からまた、静かな声が聞こえる。
米)…ああ、聞こえているさ
俺はゆっくりと振り返る。
米)日帝
end