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きっぱり。
「俺の帰る場所やから」
そう言って、
侑はまだ少し赤い目で、でも安心しきった顔で笑った。
ソファでひとしきり落ち着いたあと、
侑はぼんやり天井を見ながら言った。
「……なぁ」
「なに?」
「風呂、入ってええ?」
その言い方が、もう弱い。
「入らない選択肢あると思う?」
「せやな……」
立ち上がろうとして、ふらっとする。
「ちょ、待って」
「大丈夫やって」
「さっき床に引きずられてた人が言う?」
「それはノーカン」
文句を言いながらも、
🌸の肩に少し体重を預けて脱衣所へ向かう。
⸻
風呂場から聞こえてくる、シャワーの音。
しばらくして、
「……生き返る……」
という、心底しみじみした声が響いた。
「今どんな状態?」
「魂が戻ってきとる途中」
「意味わからない」
「俺にはわかる」
湯気の向こうで、侑は肩まで湯に浸かっていた。
遠征の疲れが、少しずつ溶けていくみたいに。
「……なぁ🌸」
「なに?」
「さっきのこと、忘れてええで」
「無理」
「即答やめろや」
でも、声にもう震えはない。
「風呂ってすごいな」
「急にどうした」
「さっきまで世界終わっとったのに、
今、普通に生きとる」
しばらく黙ってから、
ぽつりと続ける。
「……でもな」
「うん?」
「お前おらんかったら、復活速度もっと遅かったと思うわ」
素直なのに、照れ隠しで少し乱暴な言い方。
⸻
風呂から上がった侑は、
タオルを首にかけたままリビングに戻ってきた。
「よし、復活」
胸を張る。
「さっきの俺はもうおらん」
「さっき泣いて床に座り込んでた人?」
「聞こえへんな」
ソファにどかっと座って、
今度は侑の方から🌸を引き寄せる。
「ほら」
「なに?」
「これで充電完了やから」
ぎゅ、と力は強め。
「……でも、完全回復まではもうちょいかかる」
「さっきより元気じゃん」
「せやろ?」
少し意地悪そうに笑って、耳元で。
「やから今日は、甘やかされる側な」
「急に?」
「遠征帰り特権や」
いつもの調子が戻ってきた侑は、
でも離れる気は一切ない。
「……ほんま、家帰ってきてよかった」
そう言って、
🌸の肩に額を軽く預けた。
もう泣いてはいない。
でも、完全に安心しきった顔だった。