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ショッピングモールで友達と買い物をしていると突然変な人に話しかけられた。風貌からして怪しかったため逃げ出すと、室内にも関わらず大量の水が流れ込み気を失ってしまう。
目を覚ますと砂漠のような所に寝巻きで倒れていた。辺りを見回しても友達はおらず、かわりに海の中にポツンと佇んでいる施設を見つけた。どうやらここは砂浜のようだ。
施設の中に入ってみると、中にクラスメイトや同い年の知り合い数人が居る。和やかな雰囲気に安堵し、『どうすれば家に帰れるの?』と質問をすると『海の仲間たちに乗せてもらえ』と口を揃える。クラスの人に連れられ海に着くと、タコ2匹と狼1匹が現れた。『狼だ!可愛い…!』あまりの可愛さに口をこぼす。『ありがとう』どこからともなく聞こえてきた声。その声の持ち主は狼だった。
クラスの人によると、動物たちとはちゃんと言語が通じるので私のように迷い込んだ人を家に返すのを手伝ってもらっているそうだ。『ずっと同じ1匹に乗るとそいつが疲れちゃうから3匹の上に交代でのって陸に戻りな』と言われ、乗ろうとしたがタコが小さいので上には乗れずほぼ徒歩と変わらなかった。何時間歩いたのだろうか。私は疲弊し切っていた。やっとオオカミに乗れると思い、乗った瞬間。衝撃を感じた。どうやらまた津波が来たようだ。『ああ、やっとここまで来たのに』心で呟きながら目を閉じる。
目を開くとクラスに戻っており今度は逆に施設の住人として流されてきた人の手助けをすることになった。
施設では個室が用意され、学校のように授業が行われ、給食も支給される。いつのまにかここの生活に慣れていた。そんなある日、授業中にクラスの子に『ねぇ、私たち何も持ってないのになんで部屋に棚があるんだろうね。置くものなんてないのに』と微笑みながら言われた。確かに。使いもしないのになぜ棚があるのだろう。そういえば、なぜこの施設の壁はこんなにも頑丈なんだろう。一つのことに疑問を持つと他のことに対しても疑問が止まらなくなる。なぜこんな辺鄙な所に発達した施設が立っているのか。なぜここの動物は喋るのか。なぜ私はこの施設の住人になっていたのか。なぜ、こんなにも違和感だらけの施設に、私は今まで疑問を抱かなかったのだろう。
授業が終わり、私は速攻棚の扉をあけた。中には何かおどろおどろしい物が入っていた。その物体をちゃんと確認しようと吸い寄せられるように手を伸ばす。ふと人の気配を感じ、慌てて棚の扉を閉める。私は何も怪しいことをしていないはずなのに妙に心臓がドキドキする。『流された人が来たよ〜』人影の正体は何も見ていないようだった。私は安堵し外に出る。
今回流された人はシャチに乗せてもらい帰宅していった。『私はタコだったのに』なんて思いながら部屋に戻り、また棚の中身を探る。なんだか生臭い。臭くて意識が飛びそうだ。……本当に視界が歪んできた。…私はその場に倒れ込んでしまった。
「*……番号、…27……49…3。薬の効果が……。*」起きがけに聞こえてきた声。「おい、飯だ。」そうして出てきたのは今までの給食とは真逆のシンプルなご飯。鉄格子に覆われた窓。寂しい部屋。
なんだか意識がはっきりとしてきた。
ああ、そうか。私、友達殺しちゃったんだっけ。