【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話です
ほぼ青視点
長いお話になりますが、どうかお付き合いいただけましたら幸いです
2年以上前に他サイトで完結させた作品なので、メンバーさん同士の呼び方など現在と異なっている場合もありますがご容赦ください
耳をつんざくような不快なエラー音。
思わず眉を寄せたけれど、そんなことで消えてくれるわけもなかった。
「いけるか?」
隣であにきが呟いた。
「もちろん」
答えて俺は、額まで上げていたゴーグル型のスコープを下ろす。
「3,2…」
あにきが高めの声でカウントダウンを始めた。
ぐっぐっと片足ずつを準備運動のように伸ばしていた俺は、それを合図に最後に軽く一度上に飛び跳ねる。
「1…Go!」
声に押されるようにして、俺は勢いよく地面を蹴って走り出した。
消防法や建築法なんて無視してるんじゃないかと思わされる、複雑な作りのビルの中。
通路が何本も入り乱れ、集中していないと元いた場所の把握すら怪しくなる。
目的は一番奥の部屋。
そこにあるボタンを制限時間内に押せれば俺の勝ち。
そこにたどり着くまでに妨害してくるのは3人…そう聞いている。
入り組んだ長い廊下を全力で駆け抜ける。
トラップの類はなさそうで、暗視スコープも必要がなかったかもしれない。
そんなことを思いながら走り続けていると、ふとある角を曲がったところで嫌な予感が背筋を凍らせた。
「…っ!」
後ろに感じた急な気配。
殺気をはらんだそれに慌てて振り向く。
予期せず振り下ろされた拳を寸でのところで避けると、俺という目標物を失った「そいつ」の拳は、すぐ後ろの壁を殴りつけた。
コンクリートの壁には深く長いヒビが入る。
男の手にはナックルダスターのようなものがつけられていて、まともにくらっていたら脳みそがカチ割れていただろう。
思わず息を飲みながら、俺は一歩横に飛び下がった。
それと同時に、腰のホルスターからはレーザーブラスターを引き抜く。
第2擊を繰り出そうとその白い髪の男がもう一度拳を振り上げるのと、俺がそいつにその銃を突きつけるのが同時だった。
銃口の向いた先で、男が目を瞠って動きを止めた。
「…物騒なもん持っとるやん」
ニヤッと笑って、「白」の男が言う。
お互いさまだろ。そんな言葉を飲み込んで、俺は次に足を振り上げた。
ブーツの踵でそいつを蹴りあげようとしたけれど、両腕を顔の前でクロスさせて防がれる。
「…ちっ」
思わず舌打ちをした俺の前で、そいつは体をくるりと反転させた。
軽い身のこなしで俺から一度距離を取る。
このままだと気が遠くなるくらいに長期戦になりそうだ。
(…仕方ない)
男に向けていたブラスターを、俺はぐっとそのまま天井に向けた。
そいつが目を見開いたのと、俺がトリガーを引くのが同時だった。
銃口から放たれたレーザーが天井のスプリンクラーを無遠慮に撃ち抜く。
「…っ冷たっ!」
噴水か滝のように勢いよく巻き散らかされる水を浴びて、そいつが一瞬怯む。
そのわずかな隙に、俺は再び床を蹴って先を急いだ。
そうして進んだ長い通路の先には、一つのドアがあった。
まだ目的の最奥までは距離があるはずだ。それなのに何度もドアを開いてはくぐるを繰り返させられる。
…あぁ、扉ひとつでこんなにもまどろっこしい。
ただでさえ入り組んだ道に苛立ちが募るっていうのに。
吐息まじりに俺は、そのドアに手をかけようとした。
「!……」
その瞬間、後ろからそのドアに向けて「何か」が飛んできた。
カカカカッと音を立てたそれに目線をやると、俺の顔のすぐ横で4〜5本のダガーナイフがドアに突き立てられていた。
「…サーカスにでも行った方がえぇんちゃう?」
ゆっくりと振り返って嫌味で口にすると、次に現れた目の前の男は唇の端を持ち上げて笑った。
水色の髪を揺らして、まだ持っているらしいナイフをくるくると手の中で回す。
「次はその顔に当てるよ?」
「ほざけ」
ダガーナイフの切っ先がまっすぐこちらに向くのと同じように、俺もブラスターの銃口を男に向けた。
シュッと鋭い音を立てながら投げられたナイフを、首だけ傾けて避ける。
それと同時にこちらもトリガーを引くと、水色の男も同じように白いレーザーを避けた。
その一瞬の隙に俺は地面を蹴る。
一気に間合いを詰めて、足を振り上げた。
「!?」
ドガッと鈍い音を立てて、俺の爪先が男の鳩尾をえぐる。
「……は…っ」
一瞬息が止まったらしい男は、そのままその場に片膝をついた。
腹を抱えるようにして抑え、頽れるようにしてうずくまる。
…ここでもたもたしているわけにはいかない。
エラー音はまだ鳴り響いたままだ。
胃液を吐きそうに咳き込むその水色の男には目もくれず、そこに残したまま俺はさっきのドアを押し開いた。
(あと…何分だ?)
手首の時計を確認しようとして、俺は今日何度目かの舌打ちをした。
そうだ、さっきあにきに没収されたんだっけ。
体感ではまだ10分ほどしかたっていないといったところな気がしたけれど、確かではない。
「……またお出ましか」
しばらく奥へ向けて走っていたところで、再び自分の行く手を阻む影が一つ。
眉を寄せて睨み据えた先にいるのは、今度は赤い髪の男だった。
スッと腰から抜いたのは長刀で、細身の体に映える。
「近距離戦にならん限り、お前が不利やで」
煽るように言うと、赤い髪の男はおかしそうに笑った。
「そんなん、やってみないと分かんなくない?」
刀を右手に構え、まっすぐ俺を見据える瞳。
くそ生意気なそれに応じるように、俺はもう一度ブラスターを構えた。
…いや、そのはず…だった。
油断したつもりなんてなかった。目を離したつもりも。
ただ、気づいたら視線の先から赤い男は消えていて。
ハッと我に返ったときには、視界いっぱいに広がる炎のような「紅」。
「! 早…っ」
しまった、と思うより早く、金属の煌めく様を極至近距離で目に映した。
「…っ」
のけぞるようにして何とか躱す。
だが刀の切っ先は、ピッと音を立てるように俺の頬を掠めた。
ツー、と、生暖かい感触が伝う。
それを手で拭うと、鉄のような匂いが鼻腔を掠めていく。
「…生意気。くそがきのくせに」
まさかかすった程度と言えど、傷をつけられるとは思っていなかった。
後ろに下がって距離を取り、俺はブラスターの銃口を向ける。
ただしその照準は赤い男ではなく、その後ろの壁だ。
こいつとまともにやり合っていたら制限時間に間に合わない。
「…な…っ」
俺がやろうとしていることが分かったのか、男が一瞬目を瞠った。
その時にはもう遅い。
左手に構えたブラスターのトリガーを、連続して引く。
バシュバシュバシュっと音を立て、レーザーが光の速さで駆け抜けた。
男の後ろの壁、そして続いて天井を容赦なく撃ち抜いていく。
「!」
もうろくに使われていないこの廃れたビルのコンクリートは、想像以上に脆かったようだ。
男の近くの壁と天井が、瓦礫と化してその身に降り注いだ。
「…っそこで寝とれ」
走り続けた上に3連続で襲いかかってくる奴らの相手をしたせいで、息が上がり始める。
肩を上下させながらそう吐き捨てると、俺は更に先へと駆け出した。
道に迷わないようにと、事前に目にした地図を頭の中で広げる。
それを頼りに最奥まで何とかたどり着いたときには、エラー音は更に大きくなっていた。
制限時間が近づいていることを示している。
だけど、目の前に現れた重厚なこの扉を開いて中にあるスイッチを押せば、それで全ては終わりなはずだ。
…俺の、勝ちだ。
「……」
ドアを開いた先は、小さな部屋だった。
家具一つないその空虚な空間の真ん中には、ぽつんと台座が一つ置かれている。
その上には、申し訳なさそうに小さく鎮座するスイッチ。
俺は迷いなくそれに手を伸ばそうとした。
「…!!」
だけどその瞬間、ドォン!とけたたましい音がして、俺は思わず肩を揺らして振り返った。
外で響く爆発音。
驚いているうちに連続して轟音が鳴り響く。
思わずスイッチに伸ばしかけていた手を引っ込めてしまった。
それが良くなかった。勢いで押してしまえば良かったものを。
わずかに躊躇した一瞬の隙に、どこから現れたのか一つの影がこちらに向けて飛びかかってくる。
「…くそっ」
目の前の影が、シュッと拳を伸ばした。
妨害者は3人という話じゃなかったか。
油断した、そう思いながらも俺はその男の拳をギリギリで避けた。
空を切った男のその手には、何かが握られている。
それが何かを目で追うよりも早く、男はその手の中の物をぐっと力強く押した。
途端に、部屋の外のどこかでさっきと同じような爆音が鳴り響いた。
驚いているヒマはなかった。
もう片方の手に持っていた『起爆スイッチ』を、男は続けて躊躇なく押す。
再び響く爆発音。
「爆弾魔《ボマー》か…!」
頬を流れる血をぐっと拭いながら、俺は目の前のピンク色の髪をした男を睨み据えた。
俺の言葉に、男が小さく笑う。
ピンク色の宝石みたいな瞳に嬉しそうな光をたたえ、使用済みのスイッチを投げ捨てた。
ポケットからは同じような形のものを取り出し、また両手に握る。
「何個持っとんねん…っ」
殺す気か、と思う。
部屋の外にはさっき一戦交えた奴らがいる。
そいつらはお前の仲間じゃないのかと訴えたくなった。
ブラスターを振り上げ、その重みを男の首筋に叩きつけようとした。
うまくいけば気絶させられる。だがそれほど甘くはなく、地面を蹴った男が軽々とバク転をして避ける。
「…ほんっまにサーカス集団やんか…っ」
着地しようとしたその足を、左足で薙ぎ払った。
今度はうまくいったのか、ピンクの男が一瞬よろける。
そのわずかな間を見逃さず、今度こそその首に蹴りを一撃叩き込んだ。
後ろに吹っ飛ばされた男は壁に叩きつけられ、勢い余ってそのまま床にうつ伏せに崩れる。
「…手間かけさせんなよ」
男の右手を…そして左手を、順にブーツの踵で踏みにじった。
痛みに耐えられず開いた指から、爆弾の起爆スイッチがポロリと落ちる。
「これで終わりや」
男の襟を掴んで、グイと顔を上げさせた。
その額にブラスターの銃口をゴリ、と押し当てる。
ピンクの髪の男は、こんな状況でも目を背けない。
まっすぐ俺を見つめ返す瞳は屈することも知らないようだ。
「…っ」
まるで、吸い込まれるような透きとおる桃色。
本能的に危険を悟った俺の目の前で、男はニィっと口角を上げて笑った。
「! しまっ…」
違う。笑ったわけじゃなかった。
男が唇の端を持ち上げたその瞬間、カチリと音がしたのを聞き逃さなかった。
途端に、さっきまでより遥かに近く…この室内で爆音が鳴る。
それと同時に後ろからとてつもない爆風に煽られ、俺の体は宙を舞った。
吹き飛ばされた体は壁に打ち付けられる。
痛みを実感したその瞬間、さっきまで鳴り響いていたエラー音が倍以上に速くなった。
ピピピピピと連続した音は、制限時間が来たことを示しているんだろう。
「…残念。俺らの勝ちだね。実力テスト終了ー」
ピンクの髪の男が、そう言いながらニヤッと笑った。
俺が踏みつけた手が痛むのか、手首の辺りをさすりながら。
背中に走る痛みに眉を寄せながら、俺はゆらりと上半身を起こす。
片足を投げ出した態勢で、手はもう一方の立てた膝に乗せた。
「歯に起爆スイッチ仕込むとか…だるいねんマジで」
唇を歪めて文句を口にすると、目の前のピンクの男はまた笑う。
最悪な初対面を彩った、爆風による粉塵を手で払うような仕草をしながら。
そして座ったままの俺に、その手を伸ばした。
「ようこそ、俺たちのチームへ」
差し伸べられた手を、俺は一瞬考え込んだ後、ためらいがちに握り返した。
コメント
7件
別サイトで拝見しました…、!! テラーでも見れるなんて嬉しすぎます😿💞 あおば様文章力が高くて戦っているところも想像出来てニヤケちゃいます…😸💓 桃さんは爆発させるの好きですね、!? ここからどうなっていくのか楽しみです🫶🏻💗 ̖́-
あああああああ 待ってましたERROR😭😭💞💞‼️‼️ ERRORに一目惚れしてました本当..... こうして見ると青さん本当に戦力高そうですよね😭😭
アクション系もすっごいかっこいいです!!わくわくします!楽しみです!!